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「飲み込んでは勿体ないぞ! 伝えてこその言葉だろう」
「え?」
「そうした遠慮が人と人を遠ざける 本音をぶつけることを恐れてはならないよ 対話してこそ絆が深まるというものだ」

ヤギの郵便屋がちょっと格好いいと思ったら……この後、
「ついでに言うと私はドMだ!! さあ好きなだけののしりたまえ!!」
とか言い出すからなぁ。オチまで自分でつけなくとも。
ソラニには 「絆より溝を深めたい」 とか思われてましたよ、貴方。
……誰が上手い事を言えと。

シリーズ完結刊。
イラストが綺麗で、カラーイラストも結構ふんだんに使っていて気に入っているシリーズだったんですけど、完結してしまいちょっと残念。

起きたくない人間が迷いこむ、夢の世界、「夜森」。
なんのかんの日々を楽しく過ごしている中で、少しずついつものメンバーが「起き」はじめる。
かつて「夜森」の隣にいた「昼森」も色々と思うところはあるようで。
起きていく人、そして隣にいて向き合ってくれたソラニに影響されて、「夜森」も変化していく。

郵便屋のヤギが言葉の大切さについて教える話。
昼森の満たされぬ欲を指摘する夜市の話。
夜森で開かれた花見の宴、そこで交流する人々と、赤衣と王子の話。
王子と狼人が決着をつける話。
赤衣の過去の話。
王子の過去と、赤衣の覚悟の話。
突如現れた夜市の手伝いによって明かされるソラニの記憶の話。
名前を思い出したソラニと夜森の過去の話。
夜森が昼森と向かいあう話。
夜明けを迎えた森で、皆が仲良く交流する、最後の話。

画が綺麗で、その世界からしてアレですね、童話のような世界。
ただ、ここは、辛いことがあって逃げてきた人が行き着く場所だから。
柔らかくて、綺麗なイラストで描かれる世界ではあるけど、優しいだけじゃないんですよね。起きる人は、その逃げ出したことと向き合っていくんだから、きっとこれは成長の話だったんじゃないかと。
……まぁ、重大な悩み抱えてる人もいれば、一部出会い系サイトの支払い請求から逃げてきたような人まで混じってて千差万別ですけど。そういうごった煮のような要素もこの世界の魅力を作っていると思います。
臆病な人々が、一歩を踏み出せるようになるまでのお話。
うん、結構好きでしたよ。もう少し続いてほしかったかなー。