「普通、ここは『少しずつでも自分を好きになって行けばいい』とか、『双葉にもいいところはいっぱいある』とか言うべきなんじゃないの?」
と言ってきた。
「そんな前向きな生き方、疲れるだけだろ。自分大好きな奴ってウザいしさ」
無理やり嫌いなものを好きになんてなれない。好きになろうとすればそこに摩擦とか圧力とか、何らかの無理が生じる。それが自分を苦しめるだけなら、前向きに諦めてみるのも一つの手だ。それで救われるものがあることを、咲太は二年前に学んだ。かえでの件を通して知った。戦うだけが全てじゃない。それでいいのだ。
二年前にあった、咲太の初恋の相手、牧之原翔子。
高校生だったはずの彼女は、再開したら、中学生になっていて。
思春期症候群のような気がしますが、咲太が中心なのか、翔子が中心なのかは気になるところです。
ただまぁ、今回は翔子の事情が明らかになったりとか交流したりもしていましたが。
ロジカルウィッチ。科学の輩、双葉理央がメインなわけで。
咲太と双葉、それに佑真。
どこか歪なようでいて、それぞれ馬があっているんですよね。
いい友人関係を築けている。帯にもありますが「友達だけど好きになっちゃった」。
好きな人には既に彼女がいて、なんだかんだでそこの関係は強いようです。
咲太を嫌い、時にそれでケンカしながらも付き合っているんだから、あそこのカップルも相当な感じ。
今回、嫌っているはずの咲太に理央の話をしたあたり、単なる嫌なヤツではない気もしますが。相当不器用というか、逆にまっすぐすぎる感じ。
咲太も、思春期症候群に巻き込まれまくってて、あまり長く交流で来てませんが、美人の彼女がいるわけで。
自分が嫌いだという理央は、不安だったんですよね。
彼女の実家も、温かさとは無縁の場所のようですし。
だから彼女は孤独で、寂しかった。頼ろうとして、頼れなくて。
けど、咲太は「青春ブタ野郎」で自分の事ならいいけど、他人のためなら行動を起こせるヤツだし。
佑真だって、深夜に呼び出されても、事情を聴く前にすぐに飛んできてくれるわけで。
そんな二人と友人である彼女が、孤独であるはずはなかった。
ちょっと異常な症候群が挟まっている物の、大分まっすぐ青春しているなぁ、という感じです。
そして一つ事象が片付いたと思ったら、また次が発生するわけで。
いくらなんでも咲太の周りで、頻発しすぎじゃないかなぁ、コレ。
咲太もまた「ラプラスの悪魔」だったりするんだろうか。最終的にそうやって壮大な夢落ちにされると萎えるのでやめてほしいものですが。
興味を持っている記者の方とかもいるわけで、症候群についても何がしかの回答みたいなものがシリーズを通して示されるといいんですけどねー。