ico_grade6_3
「そうなんですけど。でも逃げても取り返しがつかない、なくしてしまって、きっと一生それを後悔するだろうって……そういう時があるんです」
(略)
 あるかないか分からない可能性に賭けて逃げ出したとしても、その可能性を得られるのか分からない。たとえ得られたとしても、失ったものを取り戻せるかは分からないのだ。
 そして、取り戻せても、きっとそれはもう失う前と同じものではないのだろう。
 だから退かない。
 人の本質は精神に在り、その尊厳は容易く踏みにじられるものではないと示す為に。

バベルの3章感想ー。
書きたいことが多くて、まとめて感想書くと大変だから、章ごとにしてみたんですが……
今度は他の感想書くのに追われて、なんかどんどん先延ばしにしてしまったというなんとも言えない感じに。 

現代大学生の雫は、突然異世界に放り出されてしまって。
たまたま出会った魔術師と一緒に帰る方法を探して魔法王国まで行ったのが2章までの話。
で、最後の最後に、他国のスパイが接触してきて雫を拉致るんですよね。
全く持って面倒な話というかなんというか。
「異世界の人間」っていう稀少価値を存分に使っていますが。

生体言語という、「生まれ持った言語」があるとする常識。
それは魔法がある以上にこの世界が異質であると見えるわけですが。
雫としては当然に思える、「言葉は覚えるものだ」という認識がこの世界にはなくて。
異常自体と判断され、解決の為に様々な実験が行われて、犠牲になった子供も出ているわけで。
優しい彼女がそれを見過ごせるはずがなく。
無鉄砲で、いっつも無茶ばっかりしているので、見てるとすごくハラハラしますね。
それでも、失敗だって重ねながらも、王族に気に入られたり、痛い目見ても自分を曲げない強さがあるあたりは結構好感持てますよ。

しかしまぁ、王族っていうのはどいつもこいつも。
歪んでいるというか、歴史がある分闇が深いというか。
最初の方のヒステリックな姫はあまり好きになれませんが、途中から、雫が信を置くに足るだけの器量を見せてくれて。
それで過去の行い全てが消えるわけではないですけれど、先のために、地位にふさわしいだけの行動をしてみせたのだと証明されたのは、いいことでしょう。
最も、今後が大変そうなのは……まぁ、ファルサスが近くにある以上しかたのないことか。
幕間にある章のまとめが、割と笑える。空気読まないファルサス王とか。
なんか毎回のように最後ピンチに陥っていた気がしますが、今回はとりあえず、無事に解決したようで何よりです。
国同士の交渉でちょっとバチバチなっていたのは……マシな部類でしょう。