「お前が何者だろうと知るか! 目の前で殺されたりなんかしたら俺の気分が悪いんだよ。それだけだ。お前が厭だっつっても勝手に助けるからな。もう文句はきかねえ。あきらめて助けられてろ!」
あちこちで説得力が微妙に足りないかなーというような感じ。
あと、詰め込みすぎ、ってのもあるかなー。
大筋でいうと、記憶喪失の少年と、迫害された種族の少女。
二人が出会った時に、叛乱の狼煙があがった、とまぁそんな感じなんですけど。
一冊で因縁ができすぎてる。
記憶喪失の少年がつまり主人公なんですけど……幼馴染と決別して、なんか思考凝り固まった保安局の局員に恨まれて、で、エピローグでさらに上乗せ、と。…どれか一つでよかったんじゃないかなぁ。
龍血統が、捕まっているっていうのがよく判らんのですよね。
膨大な霊力を持っていて、それで飛べるというのなら、飛んで逃げればいいのに。
一時的でも〈魔銃〉の効果範囲外の高度にも逃げられるようですし。そもそも〈魔銃〉を持っていなかった、龍血統が繁栄していた時代においてなら、逃げるのはなおのこと容易だったんじゃないかと。
あとは煮炊きのための火を熾す道具だったり、雨を降らせる道具があるんだったら、武器が無いはずがないと思うんですけどねぇ。農作物の敵は、野性の獣だと思うんですが。それを追い払う工夫もあったはずなんじゃないかと。
ロジオンが得た剣は、汎用性もないし、象徴的な意味合いが強いんで、微妙なところでしょう。
あとは、文字を持たずに、そこまで繁栄できるんだろうか。絵画によって残された情報もあるようですけど、それが出来て、日常の用途に〈神具〉を使う頭があるなら、文字位ありそうなもんだとおもうんですけどね。
あとは、あれだけ理性なく暴れた末に、ドミートリィが生きているのが不思議でならない。
全員殺してしまって、亡骸に、いったい何がしたいんだよ、お前らは……とぼやくぐらいの方がまだよかったんじゃないかなぁ。
さて、叛乱の狼煙はあがり、少年少女は行動を開始しましたが。
道行きは……あまり気にならないかなぁ。続きが出ても、手を出さないような予感がします。