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今はまだ、何もできない僕だけど。
いつか、一緒に詠ってくれますか。

2巻に明らかになった、これまでの名詠とは違う、人を石化させる灰色名詠。
ネイトの使う夜色のような新しい概念ではなく、白色が変質したもの。
そして謎の触媒であるエッグ。
調査のために、カインツの知人の研究者、サリナルヴァがネイトたちの通う学校を訪れて。
同時に、各地でエッグに絡むと思われる不審な事件が起きて。

クルーエルは、赤色名詠の素質を買われて学園長に呼び出されたりしてました。
ただ、才能が開花したというものではなくて、「過去に詠唱に使用され容易く使えないはずの触媒」で簡単に名詠をしてしまうなど、教師たちが戦慄するような面を見せ始めて。
体調もかなり悪くなっている場面もあったりと、かなり危うい状況に見えます。

一方でネイトは、サリナルヴァに「なぜ黒ではなく夜なのか?」と問われ、また悩んでます。
でも、今回はそんなに深刻にならず、自分で答えを見出してるんですよね。
まだ十三歳だというのに、この前向きさや、成長速度には目を見張るものがあると思います。
大切なものがあるって言うのはやっぱり大事なんですなー。

「ただの強欲者だよ。名詠士の資格すら持っていない、名もなき敗者だ」
そう自称する、灰色名詠使いの男。
彼によって随分と引っ掻き回されて、クルーエルは化け物じみた技量を見せ、ネイトも一歩を踏み出した。
騒動のお蔭というのは抵抗がありますが、あれがあったからこその成長でもあるわけで。
ネイトが自分の詠を謳えたのは良い事だったんでしょう。
敗者には逃げられてしまいましたし、因縁が続くといいますか。
強欲と言いつつ、打つ手は冷静だから厄介なんだよなぁ、あの男。




シリーズ感想
黄昏色の詠使い イヴは夜明けに微笑んで
黄昏色の詠使いⅡ 奏でる少女の道行きは