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「しかし――どんな英傑であれ、魔王退治とは古来幸運が絡むもの。手にした勝利を疑う必要はないかと思われますよ、十六夜様」


アジ・ダカーハを倒した「ノーネーム」たち。
それから三か月がたち、事後処理なども色々と進んでいるようです。
連盟は無事に締結できたようで、例の金剛鉄の鉱床のある回想で、六本傷が主導となってゲームを開始して。
今回の事件も影響して、ポロロは大きな計画を実行しようと企んでいる様子。

ただ、十六夜は、未だにあの戦争時の口惜しさから脱しきれておらず。
当主であるジンが、ウロボロスの元から戻らなかったため、組織としても停滞していて。
飛鳥も、己の為すべきことを見定め行動することとなり。
春日部は、自分の能力のペナルティについての研究をして、参加者としての実力を伸ばす。
第一部完結ということでのまとめのエピソード。

十六夜や飛鳥の経歴についての考察も進んだり、状況は変化していっている様子。
コウメイとクロアが話していたクロアが話していた「箱庭に戻ってきた本当の方法」だとか、十六夜と約束していた明かすと言っていた事柄とか、その辺があまり出てきてなかったのは残念。
第二部がすぐに控えているから、数年後~とか先に持っていくネタもありましたしね。
しかしまぁ、ジンは自分でウロボロスについていったようですけれども。なにを考えているんですかね。
ペストが登場しなくて、遊興屋がまた暗躍しているようで、何を唆しやがった、と気が気でない。

気になっていたアレコレ。
サラは鷲龍の角を取り戻したようで、療養しているみたいですが、動けていたので一安心。
マンドラたちが覚悟を決めたことが、混世魔王のゲームに影響を与えて、サンドラも解放されたようですし。
……今回登場していなかったけれど。火竜の先代と交渉したとか言ってましたが、引退した癖に暗躍しやがって……
混世魔王が、初登場時の小物っぷりから信じられないほど、魔王としての格を上げてきていてびっくり。
「魔王は不退転」と啖呵を切ったときから思っていましたが、覚悟を決めてるその姿には、こちらが圧倒されるほどの熱量と迫力があった。

最強の軍神(笑)さんがさすが黒ウサギの系列だ、と納得できる。
締める時は締めてくれてましたけど、こりゃあ七天の覚えもよくないというか「動けばろくなことしない」とか評されるのも納得できますな……
いやぁ、それにしても今回のゲームのオチは耀がかわいそうだった。
ルイオスが負けながらも、男気を見せて、初期のボンボン御曹司から成長していたというのに。
耀は成長していても、オチがアレか。荒々しく伝説を打ち立てて、しょっぱなから負け負けとか……つら。
頑張れ、耀。実力はついているんだから、先は明るい……はず。

十六夜と七日七晩戦えるほどの実力がついているとは少し驚きました。
彼も、消沈していたから「勝てないかも」とか言ってましたが「足元並」とは認めてましたし。
「ジン・ラッセルのノーネーム」として十六夜が作戦を建てた時、「俺並とはいわないが俺の足元並は欲しい」と言っていましたが。それだけ広かった差を、耀と飛鳥が埋めてきた。
今回十六夜は迷ってましたから、それを支えてくれる同士がいることは本当良い事だと思いました。

そして、今回のもう一人の主人公はフェイスレスでしょう。
まさか彼女の仮面の下にある秘密が、あんなものだったとは。
あれほどの実力を身に着けるのに、どれだけの時間を懸けただろうか。
それだけの努力をしてつかみ取ろうとした夢の果て。
アレは、反則だろう。飛鳥の成長があった事もそうですが、決闘の場面は本当に見ごたえがあった。

第二部のプロローグが語られていましたが。
ここで焔たちが出てくるのか。あと、意外な人物が関係してきたというか。
あの二人いったい何をしているのさ……いや、片方は予期せぬ幸運というか奇跡のような出来事、のようですけど。
今から第二部が楽しみ。6月に発売予定だという事で、短期間で出てくれるのはありがたいですねー。