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「だから、俺は生きる――」
(略)
「生きてるかぎり、俺が生きていることは――罪じゃねぇ」


待ってました、のムシウタの最新刊。
帯によると、5月1日にでる、15巻が完結巻のようですけど、これ、無事に収集つくんですかねぇ。 
一番最初からして、不穏な未来が描かれているんですが。

それぞれの信念とかがある、虫憑きたち。
危険な状況、恐ろしい敵、だからといって協力できるかっていうと、そうでもない。
最も癖の強い、一号指定たちなんて、なおさらですね。

C殲滅作戦は失敗。
3チームがそれぞれ、拠点に帰還するが、Cの攻撃は止まず、危険な状況に。
バラバラに逃げることになり、レイディー・バードはその力をもって、変わらず弱い虫憑き達を守るために奮闘する。
眠り姫、アリスは目覚めず、動きかない。
ふゆほたるは、作戦失敗し、帰還するまでの間に姿を消した。
かっこうも、動きがあると言えばあるけど、ちょっと待ちの時間というか、とっとと起き上がれ、とみている側としては思いますが。戦い続けてきたからなぁ、すり減ってしまったんだろうか。
そして、炎の魔神ハルキヨ。自分の思った通りにしか動かない、彼こそ、一番扱いにくい。

今回は、帯にあるように、レイディー・バードこと利菜とハルキヨの2人の視点が中心ですね。
ただ、なんで挟まっているのか知れない、他の人の視点とかも混ざってて、あからさまに伏線っぽいんだけど、これがどう作用するのかがさっぱりわからない。
土師が復活して、逆転していけるのかなーと思ったら、Cもさる者というか、大分おかしくなってきているなぁ、という感じで、状況が。
初期に退場していたせいで土師のやりかた忘れかけていましたけど、そういえばこの人こういう人でしたねーという感じで。

さて、本編というか、利菜とハルキヨの話。
復活してもなお、「レイディー・バード」として、虫憑きの味方であろうとする利菜。
作戦失敗後に復活したために、余力を残していますが、状況がいいわけじゃないし、生き方変えられるわけじゃないしで、精神的に追いやられていますね。
まぁ、CもCで精神攻撃とかやってきているんで、その辺もありますけど。
最も弱い一号指定、と評されたりもしていましたけど、バカは死んでも治らないっていうのはアレですけど、蘇ってなお掲げようと思った信念なら、貫いてほしいですねー。

一方でハルキヨ。自分の思うようにしか動かない享楽の徒である彼ですが、それなのに、結構虫憑きの秘密にかかわったりしているんですよね。
やっぱり、一号指定にされるだけのことはあるというか、悪運強いっていうか。
ハルキヨがαの過去に触れていくとは思いもよらない展開でした。
ハルキヨ自身の過去についても触れられて、どっちもどっちというか、そりゃあこういう性格・存在にもなり得るのかなぁ、とかなんとなく思ったり。

Cの精神攻撃なのか、二人の前には倒れたはずの一号指定「かっこう」が現れる。
精神攻撃ってだけじゃなさそうかなー、なんて個人的には思うんですが、さておき。
利菜と、ハルキヨ、それぞれがかっこうに対して思う所をぶちまけるところはよかったかなー。

「アンタが、そんなことを言うな……! アンタが始めたんでしょうが!」

「そのどれにもケリをつけずにバックレようとしてやがる、てめぇが! 言うんじゃねぇぇえっっ!!」

 敵対し、戦って、一時的にでも戦場を共にするようなことがほとんどない一号指定たち。
それでもなお、戦い続けてきたからこそわかるものとかはいろいろあるんだなぁ、みたいな感じで。 

これ以上ないほどボロボロですけど、 逆転とかできるのかなぁ。
最初に描かれていた場所に繋がっていくのだとしたら、終わりには絶望しかないような気もしますけど。
どうか約束が果たされて欲しいものだと思いますがね。