
「努力しても夢が叶うとは限らない。むしろ叶わないことのほうが多いだろ。でも、頑張った事実さえありゃ慰めにはなる」
「ただの自己満足よ」
「別に自分に対する裏切りじゃねぇさ」
ぼっちな高校生活を送る卑屈な少年、比企谷八幡。
マイナス思考の理想論者と、作中で別のキャラに評価されていましたが。
まぁ、結構ダメなヤツですよね。
「みんなダメになればダメなやつはいなくなる」という論調は、一介の高校生が持つ主義主張としてどうなんだ。
屁理屈こねて、小生意気で、でも悪い奴ではないんですよね。
八幡は、見かねた教師に奉仕部という、生徒から依頼を受けてその解決を行う部活に放り込まれて。
クッキーを贈りたいから、練習に付き合ってほしいとか。
ラノベ志望の中二病君の痛々しい原稿を読んで感想を伝えてほしいとか。
持ち込まれるのはそう大きい問題じゃなくて。
以前から奉仕部に所属していた、学年一位の才女、容姿も相まって、ぼっちな八幡でも名前を知っている雪ノ下雪乃。
この二人が、悩みを解決するために手助けしたりしていく話。
こんな部活やこんな高校生はいないだろーみたいな感じですが。
ラノベでその辺つっこむのは野暮でしょう。
結構この作家さんの文章が、好みでした。
歪んでても幼くても間違っていても、それでも貫けるならそれはきっと正しい。誰かに否定されたくらいで変えてしまう程度なら、そんなものは夢でもなければ自分でもない。
八幡の捻くれた理想が、ぼっちな自分を肯定しまう態度が、自分を曲げないところが、彼の魅力なんじゃないかと思いました。
八幡ぼっちだけど、そんな自分嫌いじゃないですよね。
で、雪乃も一人でいることが苦にならないタイプ。
そんな二人が一緒に部活動を行っていくことになって、由比ヶ浜というキャラクターも時に交わってくるように変化していって。
ポイントは由比ヶ浜なんじゃないですかね。八幡と雪乃は、似た者同士だから、このまま続けてもずっと一人と一人な感じを維持していたように思います。
でも、由比ヶ浜が、立ち位置に迷いながらも、二人の間に入って来たことで「奉仕部」という形がより強固になったんじゃないですかね。
千葉生まれの千葉育ちなので、あちこちに混ぜ込まれている千葉ネタは少し笑えた。
けど、他県の人々からするとわかりにくいネタなんじゃないのかなぁ、と思いました。