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俺は気づくべきだったのだ。
俺が欲したのは、慣れ合いなんかじゃない。
きっと本物が欲しくて、それ以外はいらなかった。
何も言わなくても通じて、何もしなくても理解できて、何があっても壊れない。
そんな現実とかけ離れた、愚かしくも綺麗な幻想を。
そんな本物を、俺も彼女も求めていた。


修学旅行を終えて、その後。
八幡の解決方法に納得できない二人と、微妙にすれ違っていますね。
そんな状態でも、依頼は持ち込まれるわけで。
事情により後回しにされていたという、生徒会の選挙の話。

立候補者が一人だけいるが、彼女は自分で名乗り出たのではなく、いつの間にか立候補させられていた。
一色いろは。サッカー部のマネージャーをしている一年生。
柔道部でイベントやった時に少しだけ登場はしていた少女。
悪ノリで持ち上げられてしまったから、どうにか会長職を辞退したいという依頼。
これまでは三人で協力していましたが、方針の違いで八幡は別行動をとることに。

イベントを順調に超えて、距離が縮まったかと思ったとたんにこれですよ……
陽乃さんが登場していつも通り引っ掻きまわしたり、小町が八幡を焚き付けたりと、変わっていない部分もありますけど。
まぁ、小町は一回八幡の駄目っぷりに怒って、その後甘やかしているんですが。
兄に比べてできた妹や……まぁ、家族としての慣れとかもあるんでしょうね。

自己犠牲だなんて呼ばせない。
数少ない手札を切り、効率化を極め、最善を尽くした人間を犠牲だなんて呼ばせない。それは何物にも勝るほどの屈辱だ。必死で生きた人間への冒涜だ。


作中で八幡は、心の中で叫んでいますが。
これまでに平塚先生が言っていたように、彼は潔癖で、誰かを救う時に傷ついている。
ぼっちな八幡は、自分の事を考えているんですよね。「俺の目の前で起こることは俺の出来事だ」と世界は俺の主観だ、と自分自身を肯定している。
だからこそ、ボロボロで、それでも高潔なんですよね、彼。

八幡がとった解決策には正直、そこまでの力はあるものかと疑問符が残りますが。
その辺差っ引いても、八幡の行動や思考って言うのは中々興味深く、大した事件が起きているわけじゃないのに、読んでいて引き込まれる。
そして、彼は間違えた。形にこだわりすぎたんじゃないかと思いますが。
どうにか形を整えることはできた。けれど、そこに入れるはずの中身が零れ落ちてしまった、そんな印象。
まさか修学旅行後からさらに落とす余地があったとは、驚くばかりで続きが気になりますなー。

最後に、特典のイラスト集について。
最初の描き下ろしイラストギャラリーが結構いい感じですねー。
あとは、単行本未収録のあちこちの特典とかのイラストも収録。
こういう風にまとめてくれると、シリーズ後追いしている身としては嬉しい限り。
キャラクターギャラリーは、川なんとかさんと陽乃さん。そして戸部。川なんとかさんと戸部の座右の銘はそれでいいのか、本当に……