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「強くなるため。おいしいものを食べるため。身一つで出世するため……。それってすごく人間らしいことだよ。彩、きみはこれまで、いろいろなひとから呆れられたのかもしれないけど、それは違うとおれは思う。きみは、自分をもっと誇っていい」


ファンタジア文庫でスカイ・ワールドが完結した瀬尾さんの新作。
世界各地にダンジョンが現れ、ダンジョンに挑む探索者という存在が生まれた。
魔術を扱う魔物と対抗できるのは、同じ力を扱える才能のある人だけだった。
主人公は、10歳のころの適性検査で、適性がないと診断されたが。
ある日、前世で賢者と呼ばれた記憶を取り戻し、力を操れるようになる。

「賢者」として生きた世界と、現在の世界は別の世界に想えるが、何やら気になる共通項とかもあって。
基本的には主人公は前世の記憶と能力を隠しつつ、今の自分と家族を大事にしてるんですよね。
ただ、優しい少年ではあるので、見捨てることができず、クラスメイトを助けたりして、そのままずるずると師匠役をやることになってましたが。
……賢者と呼ばれていた割には、色々と抜けているのは、ご愛嬌というかなんというか。
きっと仲間が優秀でうまく支えていてくれたんじゃないかなぁ、という感じで微笑ましくなります。
でも、賢者の記憶を取り戻した彼がいなかったら、後半起きた災害はより危険なものになっていたでしょうし、そういう意味では望まれる成果は出してるんですよねぇ。

前世で賢者が約束を交わした相手。
その存在が示唆されたことで、行動を起こしていましたが。
ヒロインたちが自分のやりたい事がそれぞれあって、努力しているのはいいですね。
ドラゴンを食べたいという目的で強くなろうとする女子って言うのは中々いないような。シンプルでわかりやすいからいいと思うんですが。
想い人のところへ行くために、少女たちを鍛えるって言うのは恨まれても仕方ないような気がしますが、それしきで離れるような生半な相手でもなくて。
ナーシャに会うまでに周囲の少女たちとどうなっているかが少し気になるところ。
この作者さんの「スカイ・ワールド」はハーレムエンドに到達してましたしねぇ……