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「誰かと一緒に居なさい。隣にいる人が笑う事を、幸せと呼ぶんだ」。


ワンハンドエデン。手の中の楽園。能力で作られた「偽物の幸福」。
だけど、それが偽物だと誰に決められるんだろう、とそんなお話。

今回は野ノ尾が良かったなぁ。
あの老人との会話がどれもツボに入るというか、結構響くものがありました。
幸せとはなんなのか。
老人の教えた、正しいものの見つけ方。

「そうだよ。正しいものは、どこかが正しくない。正しくないところを理解した上で、それでもなお正しいものだけが、本当に正しいものだ」

野ノ尾が見つけた「友人の役割」。「相手を孤独ではなくすこと」。
このふたりに限った話ではないですけど、サクラダリセットのキャラクターたちは、みんな自分なりの哲学とかをもっていて、いいですねー。
そういう哲学があるから、能力があるのか。能力故に哲学ができたのかは知りませんが。
本人の性質とかに能力が依存するなら前者ってことになりますかねー。

夢の中にある、なんでも叶えられる神様のいる世界。
この世界は、現実の咲良田とほとんど同じ要素で構成されていた。
能力の範囲内で睡眠を取ると、「夢の世界」に入ることができる。
ここまで物理法則に反し、その中限定とはいえ神様のようになんでもできる力を持った存在を作れる。
そんなものですら能力では可能とする。
まぁ、確かに管理局としては色々悪用出来そうな面があったり、そうでなくても安易な逃げ道になりうるこの能力は管理したいところでしょう。

夢の中でケイは相馬菫を、街の外にだそうと試みたりします。
色々考えて、そして失敗とまではいかないものの、相馬菫によって、リセットで消したものを教えられる。
それでもなおリセットを使う。自分の理想を諦めない、という確固たる強さがあっていいですねー。

少しずつ明らかになってきた部分もありますが、未だわからない部分もあったり。
相馬菫は何をしたのか。管理局の索引さんの上司はいったい何を考えているのか。
一度読み終えたシリーズですが、いつ読んでも面白いなぁ。