「これから、貴方はどうするんですか?」
決まっている。
「一番、幸せな結末を目指すんだよ」
そこに届かないとしても、そこに少しでも近づくために。
まだ想像もできないような、最良を目指す。いつだってそれを、探し続けている。
相馬菫の行動、浦地さんの計画などいろいろと話が動き出します。
一方で揺れ動いていた春埼とケイの関係にもしっかりと進歩があっていいですね。
2年前感情に頓着しなかった少女が随分と人間らしくなってきたものです。
そこがいいんですけどね。
ケイたちの学校では、学園祭が行われています。
春埼をヒロインにした劇は、一回目の公演では、完璧なものにはならなかった。
上手く笑えなかったから。
二人の関係や、相馬菫のことなど、色々と悩んでいるようですね。
それを分かりながらも、ケイも悩み、覚悟している部分があるようで。
もしも何かが欠けていたとして、それを埋めなければ次に進めないなんてことが、あるだろうか。
(略)
――もしも、まだ何かが足りないのだとすれば。
足りないのは、おそらくこちら側だろう。
春埼美空ではなく、浅井ケイの問題だ。
ケイと春埼はそれぞれの能力によって関係を強固なものにしている。
では、その能力がなかったら、すべてのつながりが消えてしまうのか。
リセットで記憶を保持するケイと、記憶を失う春埼。
その関係を大事に思いながら、お互いそこに依存して、踏みとどまっていたんですねー。
まぁ、相馬菫の思惑というか、2年前の事件があったからっていうのも一因ではあると思いますが。
相馬菫は、強すぎて、だからこそ弱かったんだろうなぁ。
もし彼女の辛さをわかっていたら、彼女が誰かを頼っていたら。
また別の可能性があったんだろうか、と思いますけど。
彼女が未来視によって見たもの。そのためにした行動。全てが、一途で、恐ろしいくらい純粋で。
どこかで壊れてしまってもおかしくないだろうに、それを全て成し遂げてしまった彼女が、貴く見えますねー。
二年前に死んでしまったことは、悪手に思えて仕方ないですけど。
彼女自身が優先すると決めたことを、守り抜いた、ってことではあるんだよなー。
一方で、浦地さんの秘策。
ケイが知った始まりの一年。管理局の抱えた切り札。
なるほど、咲良田の外に能力の記憶持っていけないのは、こういうことか、と。
しっかりと理由がつけられているのは好感が持てます。
浦地は浦地で、目的のために手を選ばないところがありますが、ケイに似ている部分もあるんですよね。
ここで切るか、という所で終わりますが、反撃には期待したいところ。