ico_grade6_4
「貴女は魔王としてギフトゲームを開催しました。今後、多くのコミュニティに狙われることになるでしょう。魔王として戦って戦って、そしてやがて――必ず没します」
「必ずな」
「…………」


十六夜たちの所属する「ノーネーム」は、箱庭の東側に拠点を置くコミュニティ。
その「ノーネーム」に北側の火竜誕生祭への招待状が届く。
東のフロアマスターである白夜叉からの依頼にかこつけて、ウサギを放置して北側へ。
問題児の所以というか、そこで、「捕まえられなきゃコミュニティ抜けてやる」っていうのはさすがというかなんというか。
3人とも本当に息ぴったりですね。

十六夜の策略もあって「打倒魔王」を掲げることになったノーネームですが。
タイトルからしてわかりきっていますが、2巻にしてさっそく魔王のギフトゲームに挑むことになろうとは。

「無関係な魔王と敵対するやもしれん。それでもか?」
(中略)
「それこそ望むところだ。倒した魔王を隷属させ、より強力な魔王に挑む〝打倒魔王”を掲げたコミュニティ――どうだ? 修羅神仏の集う箱庭の世界でも、こんなにカッコいいコミュニティは他に無いだろ?」

と、自分の楽しさを優先しているようで、十六夜結構いろいろ考えているんですよね。
 
そして、少しずつ箱庭世界についても説明がされていきます。
箱庭の大きさが、想像以上のものであることだとか。
今回は、北のフロアマスターが世代交代するということで、フロアマスターについても触れられてましたね。
秩序の守護者であり、下位のコミュニティの成長を促すための制度。
箱庭内の土地の管理や、昇格のための試験などの役割を持ち、魔王が現れた時には戦う義務を負う。
それらの義務と引き換えに、膨大な権力と、最上級特権である「主催者権限」を与えられているそうですよ。

問題児同士、息があっている三人ですが、十六夜と飛鳥はここで目的を得てましたね。
いつか、自分たちのコミュニティの農園を復興させ、主催者としてハロウィンのゲームをする。
この三人が主催になってゲームをするとどんな展開になるんだろうなぁ、と読んでいるこっちとしても少し気になったり。
まー、本編最新刊のあたりだと、まず生き残れるかどうかの瀬戸際なんですけどね、彼ら。

十六夜と黒ウサギが、一回分の命令権をかけたゲームをやったりしてました。
これ本編で使うギミックになるのかなーと思っていたら、十六夜の得た、黒ウサギへの命令権って、短編で消化されたみたいですよね。
あとは、地味に気になったところといえば、飛鳥フォレス・ガロとのゲームで使った十字剣、ちゃっかりもらってたんですね。ギフトカードから召喚してるし。

強力だが、使い勝手の悪い能力を持つ飛鳥が終盤活躍したのはよかったですねー。
十六夜はそもそものスペックが段違いなうえに、知識もある。
耀のギフトは、多くの友人を作れば、その分組み合わさって強力になるし、幻獣などからは特殊な力を得られたりして、汎用性も高い。
飛鳥の能力はチートではあるんですけど、十全に力を発揮できる状態ではないんですよね。
ギフトを支配するギフト、威光の方向性を決めた以上、支配できるものがないことには話にならないわけで。
今回、そこを解消できる相棒を得られたのは、よかったんじゃないですかね。
「一曲所望するわ」の部分は、プライドが見えてよかった。

あとは、相変わらず十六夜のチートっぷりが愉快。
この人本当人間の範疇に収まっているんですか、って所がまた。
ウサギはウサギで、参加制限されるだけのことはあるんだなぁ、と言った感じでまたいい感じに盛り上げてくれましたが。