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――理と利の為に、同士との義を置いてきた。
置いてきたものを取り戻すためには証明が必要だ。
瓦礫の山河を乗り越え、地獄を掻き分けてでも、奪いに行けるのかどうかの証明が。


この巻、アニメに合わせて刊行させたんでしたっけ、確か。
 オリジナルアニメブルーレイ同梱版とか出ていましたし。
同梱版とかは一足先に出てますし、その関係もあってか、ちょっと急いだ部分もあるんでしょう。
何が言いたいかって、あの盛り上がった最後のシーンから続く本編があったかと思ったら、後半まさかの短編集なんですよね。
本編の盛り上がりは、期待通りなんですけど、後半かなぁ。

いや、短編は短編で質は決して悪くないですよ。
ほのぼのできていい感じです。
だけど、短編は短編でまとめてほしかったなぁ。
本編が間に合わないんだったら、もういっそ短編集という形にしてほしかった。
生殺しだ・・・・・・・
 
そういえば、白夜叉が蛟劉を代理に置いたはずなのに、巻頭マップでいまだに東のフロアマスターが白夜叉なんですね。
南も不在になってますし。
西側が全く描かれていないので、いつか描いてほしいものですけど。
南は不在って書いているのに西が???なのがすごく気になる。

本編関係ない感想が長くなりましたが、さておき本編。
プロローグは金糸雀の話。一回倒れて入院したところ。
十六夜は原因不明の病気といってましたが、金糸雀曰く、霊格そのものが摩耗して体に限界がきているそうです。
外界で無茶をしたから、ということで。それが十六夜に集結しているんですけどね。
ここでの会話がかなり気になるといいますか。
飛鳥と耀の能力分析はそこそこ進んでますし、そろそろ十六夜の謎も解かれてほしいところ。

魔王アジ=ダカーハが現れ、壊滅した都。
十六夜は致命傷を負い、最後の時間をもって、同士を逃がそうと試みる。
しかしまぁ、魔王は魔王で魅力的だと思っていたら、ここでまた強烈なものが来ましたね。
魔王としての正義、彼の掲げる旗。悪一文字に賭けるもの。
最悪に転がって行ってるように見えますが、それでも、敵が格好いい。
特に、最後の宣言はしびれましたね。

『(前略)――それはもう、天災とは呼べない。世界が一丸となって滅ぼさねばならない巨悪である。故に我が総身、我が悪一文字こそ、あらゆる英雄英傑が到達する最後の巨峰…………!』
(中略)
『踏み越えよ――我が屍の上こそ正義である…………!!!』
 

十六夜によって逃がされた耀も飛鳥も、それぞれ、助けに行きたいけれど……という葛藤を持ちながら、今できることをそれぞれやっています。
避難民の誘導とか、頼まれた黒ウサギを安全なところに運ぶこととか。
そこを襲撃されるわけですが、憤りを感じている状態の二人に突っかかるとか無茶するな、という印象。
二人とも、戦い方がこなれてきたというか、力を使いこなしてきてますよね。
耀のほうはなんか最後、すごいことになってましたけど、あれどーなるんですか。
 
そして短編。
十六夜たち問題児の交流を描いた『異邦人のお茶会』。
アンダーウッドで巨竜を倒した後、ヘッドフォン問題の顛末とか話してます。
しかし、あの息の合い方でまだ三か月程度の付き合いだっていうんだから、これから長く付き合っていくと、すごい組織作れるんじゃないかなー。生き残れれば。

そしてアンダーウッドで起こったもう一つの事件を描く、『リリの大冒険~働かざる者食うべからずと偉い人は言いました~』。
ここで十六夜たちは、パラドックスゲーム、成功方法が確立されていないトラップゲームを解決したりするわけですが……
コッペリア助けられてさ、彼女が旗を持っているのだったら、そこで連盟作ったらまずかったのだろうか、と少し思ったり。