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「生まれてこなかったら苦しまなかったのに、とか。好きにならなかったら失恋しなかったのに、とか。地球から人間も恋愛もなくなっちゃったら、そっちの方が悲劇だよ」
ノゾミちゃんは可愛らしい表情で笑う。
「なんか問題がずれてませんか?」
「そうかな。だいたい一緒だと思うけど」

佐々波さんと、雨坂さん二人の会話が結構好きで読み続けていますねー
。しかし、ユキは最初だけのキャラかと思っていたら、レギュラーになっているんですよね。
雨坂も言っていましたが、彼女がいる意味は何なんでしょうか。

「(略)でもストーリーを考えた時、より設定を想像し辛いのは小暮井さんの方ですよ。彼女はあまりにイレギュラーだ」

必要ないキャラを動かす余裕なんてないはずですが。
いや、キャラとしては別に嫌いじゃないですよ。
冒頭に引用したセリフとか、その考え方は気に入っている部分もあります。
ま、作中のキャラにわざわざ疑問を提示させたってことは、作中でいずれ明かされるという伏線だと思っておきましょう。

屋敷のどこかにある一枚の絵を探してほしい。
昔なじみの女性の依頼で、佐々波と雨坂の二人は、山の上にある洋館に向かった。
しかし、この屋敷はただの屋敷ではなく、二人とも因縁がある場所だった。
その因縁に関係しているので、ユキとノゾミちゃんの二人も同行します。

洋館には、佐々波とも縁がある作家の女性が住んでいた。
彼女の依頼と、屋敷で起こる心霊現象。
そして彼女が導く結論がまた、悲しいものがあるといいますか。

「悪役は、正義を証明するために創るんです」


作家っていうのは、みんな業が深いんですかねー。
でも、確かに彼女がこの事件をどういう風に描くのかは少し気になったりしますね。

今回もそうですけど、あらすじが少しミスリードというか、嘘は言っていないけれど、みたいな文章でちょっともやもやしますね。
前回の最後レイニーが暗躍していたのに、全く別の事件描くのかよ、と持っていたら、冒頭でノゾミちゃんの話はありましたし。
地縛霊ではなくなった代わりに、小暮井ユキにとりついたような状態になったとか。
これがレイニーのしたかったことなのか、と思うとまたよくわからないことしてますよね。
そもそも、二年前からしてレイニーは件の洋館に佐々波たちを誘導しようとしていたそうで。
洋館に関しては、今回の明かされた真相を見せたかったっていうことなんでしょうけど、彼の思惑っていうのが読み切れない。

それ以外にも、烏の行動も気になりますし。
ノゾミちゃんの心霊現象がいったい何なのか、とか。
疑問というか、きになっている部分は多いですね。
最初に挙げた、小暮井ユキというキャラクターはどんな設定があるのだろうか、もそうですし。

今回の事件を通して、ストーリーテラーは情報を得て、目指すエンディングの形。
さてここから雨坂はどんなハッピーエンドを描いてくれるんでしょうか。
楽しみですね。
勝手な印象でいえば、あと2冊くらいで終わる感じですかねー。