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「太古(むかし)を誇るだけの獣が、現在(いま)を生きる人間を舐めるんじゃねえ!」

『驕るな人間!』

(略)

「自分の敗北も受け入れられない。そんな奴に負ける理由なんてないんだよ!」

 

レンが、エルメキア・ダスクの第一位、騎士王ゼルブライトと戦ったその後の話。

ゼルブライトは、今回の騒動の責任を問われて除籍処分に。……ただ配下はそのまま残っているし、実験を主導していた連中もそのまま。

ただゼルブライトという重しだけがなくなってしまい、エルメキア・ダスクが止まりそうにない雰囲気。

……ろくな事しないな、ゼルブライト。

 

一方でレンたちは、最後の法印を求めて冥界へ。

道中、変わった面子でチームを組んでいる旅団と知り合ったり、審問を破壊して回っている『沈黙機関』なる存在が示唆されたりしてます。

剣聖シオンが、独自に動いて真実に近づいているような雰囲気はありますが。

それとは違う形で、レンたちもまた冥界で沈黙機関の獣と戦う羽目になり。

 

レンの特異性が描かれた話でもあったと思います。

精霊に教えを乞う剣士。じゃあ、彼から精霊を取り上げたら、戦う力が無くなるのか、といったらそうではない。

元々彼は、学院では一人で剣を振るっていたわけで。精霊がいなかろうと、諦める理由にはならない。

この旅の中で、自分一人では敵わない相手と戦い、現在を生きる英雄たちの姿に感銘を受けたから。だからこそ、負けられないのだと奮起する姿は、レンらしいというほかない。

 

主人公とはかくあるべし、というような覚悟を彼は持っているのが良いですね。

沈黙機関の手によって、法印の一つを取られてしまったのは痛いですねぇ。これまでがなんだかんだ順調に進みすぎていた、という話でもあるんですが。

エルメキア・ダスク側の準備も整って、改めて動き出しそうですし、どうなることやら。

世界の終わりの世界録(アンコール) (5) 降魔の大皇 (MF文庫J)
細音 啓
KADOKAWA/メディアファクトリー
2015-10-23