「オレだって戦いたくないし、とても疲れた。――それでも今まで自分に起きたことや、他人にしたことを忘れたくない。それを忘れないまま、自分で何をするかを決めたい。そうするのが普通の人間だと思うから」
(略)
「オレは、夢を叶える」
(略)
「そうしてオレは――夢を叶えただけの、ただの人間になるんだ」
11年に及んだ長いシリーズが、ついに完結。
好きなシリーズだったので、無事に終わってくれたのはうれしいですね。
ただ、最後はかなり駆け足だったといいますか、大味な印象があったのでそこは残念。
せっかく最終決戦だからと一号指定が集まったのに、なんかパッとしなかったかなぁ、という印象が残る。
敵も味方も戦力尽くしての決戦っていうのは嫌いじゃないんですけどね。
一号指定たちの元へとあらわれていた、かっこうの影。
あぁ、そういえばここまで裏側で動きながらも、この最終局面で描かれていなかった奴らがいましたね。
茶深たちの行動によって、反撃の手段が整った。
とはいえ、〝C”の力も圧倒的で、本丸に乗り込むまでにも脱落してく奴等は出てくるんですが。
虫憑きたちの、夢の果て。
脱落したものもいるし、一歩間違えれば成虫化しそうな領域まで踏み込んだ者も多い。
そんな極限の戦闘の中でも、彼らは戦いをやめず、進み続ける。
自分たちの夢の為に。Cは、虫憑きを生むような夢はすなわち「叶わぬ夢」であるといっていました。
未来に向かって歩く虫憑きたちが進む道の先には――さらなる道の続きしか見えない。
叶わぬ夢だろうと、願ってしまった以上、彼らは歩みを止めないのでしょう。
帯の文句も「それは最高で最悪の夢の結末!!」とありますし、今更言うまでもないことかもしれませんが、これは彼らの夢の話だった、と結局そういうことですよね。
歩み続ける彼らの決断が、その折れぬ心が、読んでいて心地よいのは確かでした。
そうした部分が好きだったからこそ、最後駆け足気味だったのが惜しいとも思うんですがね。
あさぎと鯱人の戦いや、大喰いの最期、魅車の結末と、見どころありそうなのに結構あっさりと終わった部分が多くて。
あとは、メイン以外のキャラも増えてきていたのに、その他のキャラクターの「その後」があまり描かれなかったんもちょっと残念だとは思ってます。
ま、いろいろ言いましたが、それでも楽しんで読みましたけどね。