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「俺は魔術師、八鍵水明。世界の全ての理に辿り着くために神秘を志した、現代日本の神秘学者だ」


小説家になろう掲載作品の書籍化。
タイトルからしてわかる通り異世界召喚ものですね
魔族に襲われて大変だから、勇者様を召喚したが、おまけで近くにいた友人たちまで巻き込まれてしまった……と、そういう展開です。
男二人、女一人が巻き込まれるわけですが……その内勇者は男一人のみ。ちなみにそれは主人公じゃない。

主人公は、現代の裏側で生き残っていた魔術の使い手だった。
そして、その魔術は召喚された異世界のものと比べてかなり進んでいて。
詠唱の速度や術のバリエーション等々、そこには圧倒的な差が存在していて、元の世界において中の下程度のレベルの主人公でも簡単に無双できそうなほど。
実際、宮廷魔導師あっさり蹴散らしていますけどね。

百万に迫ろうかという魔王軍の脅威を払ってほしいと頼まれ、「勇者」の力を得た少年は快諾する。
その道行に幼馴染の少女は同行することに。
しかし水明は、「数は力」で「異世界召喚モノ」のお約束よろしく、少数精鋭で倒すなんて理想にすぎないと語り、同行を拒否する。
ただ、その一方で彼は、異世界召喚陣の解析をしたり、帰り道を確保しようと動く。
呼んだはいいけど帰す方法はない。そんなふざけたことが認められるか、といろいろ調べていきます。
元の世界への未練がある。友人たちが「勇者」として仕事を終えた時帰り道を作っておきたい。
今まで隠してきた「魔術師」という自分の顔を隠しておきたい。
ま、そんないろいろな思いが入り混じったうえでの行動なわけですが。

友人思いなのか、行動派なのか、慎重なのか。
どうにもわかりかねる部分があるんですよねぇ。
魔王討伐に参加しないから俺は帰してくれ、っていう場面とか。
王様に素性を問われ、魔術師であると認めてしまうあたりとか。
そもそも戦闘になれば圧倒できる程度の宮廷魔導師に怪しまれてしまっているあたりとか。
この辺のあちこち抜けているように見える部分が、もとの世界で中の下レベルの魔術師だったことの証明なんじゃなかろうか。