俺か、それとも世界か。
どちらかが狂っている。
「そんな世界は――」
謎の敵アンノウンの襲撃によって崩壊した世界を描く、クオリディア・コードシリーズ。
さがら総による東京編です。
人類を愛しすぎている傲岸不遜な男、朱雀壱弥。
外見に騙され朱雀に告白し……叩き潰された後朱雀担当として扱われるようになった哀れな少女鵜飼つぐみ。
その二人に、都市次席からある依頼が持ち込まれて。
朱雀のキャラが、中々見ない造形で笑ってしまう。
ここまでポジティブなクズは中々いないぞ。あそこまで人の心を前向きに叩き潰せるものなのか……
愛しているから、信じているから。たとえ今弱音を吐いていようと、這いつくばっていようと、死力を尽くし立ち上がってくれると信じているから――叩きのめせる。
この程度は、乗り越えられるだろう。戦う者なのだから、と。
この人類愛は怖いな……
防衛都市、というからには防衛行動をとることがあるわけです。
つまり、アンノウンとの戦闘がどうしたって行われるということで。
発現した「世界」の方向性によって、少年少女は戦闘科、工科、補給科などの科に分けられる。
その中では戦闘科が、都市防衛のエース、花形として人気を集めているわけですが……
最後まで読んでかなり歪な世界になっているなぁ、と思いました。
ついてこれないものをふるい落とし……それを見ないふりをして亡霊と呼んだ。
戦闘科には、傲慢なプライドが芽生えていた。不要なものをまとめた不適格者リストなんてものも作られた。
……アンノウンによってではなく、人の手で滅びそうな勢いすら感じましたが。
鷹匠の企みで、都市の暗部を知った朱雀がどう行動を起こすのか。
彼の事だからまた突飛なことを始めそうですなぁ。カナリアに是非とも頑張って止めて欲しい所ですが……朱雀の性格が頑強すぎるから無理かもな……