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「そうだね、それはありがたいことかもしれない。治療法のわからない病気に手立てがあるなら喜ぶ人も多いだろう。ただ線引きが難しいとは思うけれど……単に便利になるだけのものなら、僕は欲しくない。もし本当に必要とされるものならば、それはいずれこの世界かの中から生まれるだろう。だから、どれほど世界の現状が不自由なものであっても――僕は混入された便利さより、あるべき不自由を望むよ」

 

いやぁ、懐かしい。そしてやっぱり面白い。

藤村由樹名義でWEBに掲載されている作品の書籍化です。

作者さんは自分のサイトももってますが、小説家になろうにも掲載してますね。

ただ、作者さんのサイトの方が色々と閑話が乗ってたりするので気に入った人はぜひそっちも見に行ってほしい所です。

 

さておき本編ですが……WEB小説の感想を真面目に書いていた頃に、好きな作品だからと章ごとに書いていた気がしますなぁ。

WEB版と書籍版との読み比べをする根気は無かったのでやってませんが。

書籍化で、好きだった作品の雰囲気が崩れなかったことにはほっとしています。絵師さんいい仕事してる。

 

ごく平凡だった女子大生水瀬雫は、大学の構内で不思議な本を拾った後……気が付けば砂漠に立っていた。

幸いなことに文字は読めないけれど、言葉は通じるのでとりあえず生きる術を見つけてはいますが。

 

……初期地点が砂漠って言うのがなぁ。現代人にとってはかなり厳しい。

実際死にかけて倒れていたところを通りすがりに保護されて、何とか無事だったんですが。

そうでなくても雫は、自分の中に揺るがぬ芯を持っていて、突飛な行動を取ったりして危険な目に合うんですけどね。

想えば最初から運もなかったんだなぁ。いや、エリクという良き同行者に会えたことで運を使い果たしたという可能性も……

 

魔法があるファンタジーな世界。

魔法士であるエリクは、雫が異世界から来たという言葉を信じてくれて。

手がかりを探す手助けをしてくれる。最も彼は彼で「異世界の言葉」という興味深い事柄を雫から教わっているので、ギブアンドテイクな感じではありますが。

雫とエリクのコンビが好きなので、書籍化もぜひ最後まで続いてほしい所ですが……どう転ぶかなぁ。

Babel ―異世界禁呪と緑の少女― (電撃文庫)
古宮九時
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2016-08-10