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「余も貴様も――――天と地のあまねく全てから見捨てられて死ぬのだ」

 

残酷に殺された、罪なき魂として異世界に召喚された櫂人。

彼を呼び出したのは自らを「拷問姫」と称する美少女エリザベートで。

彼女は、人の苦痛によって力を得る悪魔とその契約者を討伐する任務を負った咎人で。

櫂人に求められたのは、悪魔と戦う兵隊の役割ではなく、彼女自身に仕え雑事をこなす執事の役割で。

 

料理なんかを提供していますが、櫂人の料理の腕は壊滅的で。

奇蹟的な不味さを発揮しているとかなんとか。エリザべートのマズイ食レポはちょっと笑った。

他にも笑える一コマなんかはありましたが、全体的には凄惨の一言。

悪魔が人の苦痛を糧とすることもあって、地獄同然の光景を容易く作り出す。

無残に殺された亡骸。遊びの為に連れてこられ殺される子供たち。

そうした悪徳の輩を、エリザベートが討ってくれたのは痛快ではありましたが。

 

彼女自身も咎人であるがゆえ、悪魔をすべて討ち果したら、処刑される運命にある。

……どうしてそのような状況になったかも描かれていましたが。

圧倒的に、救いが足りない世界というか。彼女自身は、自分の辿り着く果てすら理解し飲み込んだ上で、悪魔を殺してるみたいですが。

櫂人にしても、先が見えない状況ではあるよなぁ。主人はいつか殺される運命で。

その従者として召喚されている以上、最後まで傍にいれば一緒に処分されかねないとか。

目的達成しても全滅エンドまっしぐらな感じですが、何かしら救いがあってほしいものです。

異世界拷問姫 (MF文庫J)
綾里 けいし
KADOKAWA/メディアファクトリー
2016-04-25