「《道具》として、擦り切れて終わるまで《道具》として生きる。霊と人とに望まれるまま自分の力を使って、死なせた人間の存在を全部背負って、それに押しつぶされるまで。それしか報いる手段がない」
甲田学人さんの新作、となれば買うしかない。
発売日に買っていたんですが、ドタバタしててやっと読めました。
さすが甲田さんって感じで、適度に暗く重い感じでしたが……他の作品と比べれば、読みやすい部類に入るかと。
転校生の少女瞳佳は、前の学校で心霊事件に巻き込まれ退学になっていて。
受け入れを表明してくれた学校に転がり込んだが、転入早々クラスメイトにおまじないに誘われ……そして、そこでも新たな騒動が起きて。
五人で行い写真を撮ったはずが……いないはずの六人目が移りこんでいて。おまけに、おまじないに参加していた一人が姿を消す事態にまでなり。
心霊案件の相談を有料で請け負っているクラスの男子、守屋真央に相談して。
その中で瞳佳は、色々と心霊関係の知識や、巻き込まれてきた自分の体質についてなど知識を得て。
守屋は見事、消えた少女の行方を突き止め、依頼を完遂していましたが……
いやはや、何事も一見しただけでは分からないものだと言いますか。
おまじないを行った4人の友人たちの隠していた物。学校で行われていた、陰惨な交流等。
イジメていた少女たちに報いがあったのは、正直すっとしましたが……一方で、救いもなかったなぁ、という感じ。
守屋のサークルの仲間たちにも色々事情ありそうですし、刊行続いてくれると嬉しいんですが。