「いや、改めて思ったんだ。俺ってやつは、めちゃくちゃついてる」
(略)
「思い返してみれば、いつも俺には運があった。でなきゃ、ずっと前に死んでるはずだ。俺はいつだってギリギリのところで、誰かに、何かに、救われる」
遂に刊行された、完結巻。上下巻で同時発売。
正直このラストエピソードを見ることは出来ないのではないかと半ばあきらめかけてましたが。
こうして無事に刊行されて、ほっとしてます。
過酷な道を歩みながらも、誰かに助けられながら進んできた雷真は自分を「ついてる」と評してましたが。
家族が死に、仇討の為にやってきて、何度も死にかけて、それでもついてると言える彼の心の強さは凄まじいですね……
天全の前に立ち、持てる全てでぶつかる雷真。最初はなすすべもなかった相手に、追いすがり、戦いの中で成長しその力を認めさせた。
平坦な道ではなかったけれど、それを踏破した雷真と雪月花のコンビネーションは、成長したなぁと感慨深かった。
そして、赤羽一門が壊滅した理由や天全の真意など多くの情報が明かされていって。
赤羽一門ってのは不器用な家系なんですかね……
天全を倒し、真実を知り……得難いものを取り戻した代わりに、かけがえのないものを失う、というのはまた。
運命というのは、この局面においても雷真に負担を強いてくるんだな……
流石の雷真も、動けなくなりそうになったところでシャルに後押しをされて、動き出せたのは何よりでした。
が、雷真が天全と戦っている間も、王子様と薔薇の暗躍は続いていて。
ついに神性機巧が完成し、おまけにその段階に及んで学院への襲撃が再開されて。
絶望的な状況で、雷真が賭けではあるけれど道を示して。ここまで来て諦めるのも彼らしくないですし、最後まで意地を見せてほしい所。