「それならば、私は死なないわ。絶対に。何があっても」
「あぁ、我が守ろうとも。我が花の枯れることのなきように」
幻獣と人との間を取り持つ幻獣調査員のフェリ。
彼女は変わらず、クーシュナやトローと共に旅の途中、様々な問題を調停しています。
悪しき竜にさらわれた娘を助けに行ったり、異種族の娘を嫁にもらった老人の道の果てを見届けたり。
相変わらずトローは可愛いし、フェリのスタンスがぶれないので、安心して読めますねー。
今回笑ったのは占お婆のエピソードですかね。
バジリスクの一件以外にも予言を的中させて、ばあさんが災厄を言い当てているのか、招き込んでいるのかわからない、と村を追いだされてしまったとか。
「鶏が大群で空を飛んだり、鍛冶屋の髪が復活したり」したそうで。禿を予言された鍛冶屋、掌を返してばあさんを庇ったそうですが。
……巻き込まれる村人たちはたまったものではないんでしょうが。予言婆の珍道中は絶対爆笑必死だろうなぁ、と思わず笑ってしまった。
そして新たに目覚めた災厄――ヒュドラに対処するために行動を開始したりもしています。
災厄に対抗すべく生み出される、勇者なる存在が今回は間に合っていましたが……
とかく人の業に限り無し、とでも言いますか。幼少期に勇者の資質を発現したがために親元から隔離され……人らしさを養う事が出来ずにいた少年。
勇者を連れてフェリが対抗策を得る為に動いたら、横やりが入ったりして、一回滅びたらいいんじゃないかな、って正直ちょっと思った。
けど、それで逃げたりしないからこそ、フェリなんだよなぁ。クーシュナが止めようとして止めきれないのも納得の頑固さ。
好みの世界観が変わらず続いてくれて嬉しい限りです。