「(前略)……ったく、おれがこれまでやって来た中で、文句なく一番の荒技になりそうだぞ。やるだけやって、そのあとはもう、神頼みだ」
相当な難産だったようで、後書きによればほぼ二年ぶりの新刊。
しかも、過去編。次の巻では春虎たちと出会える…かも……? 一応現代に戻る予定ではあるみたいですが。
現代の方でもかなり差し迫った状況ですし、あそこからどう立て直すのかが気になって仕方がないので、早く出てくれれば嬉しいですが……ま、気長に待ちます。
時は遡り……ついに語られる夜行たちの時代。
土御門や相馬、大連寺など今に続く因縁の始まりに何があったのか。
夜光と飛車丸のやり取りが楽しかったなぁ。
思った以上に愉快な人ですよね、夜行。自由気ままな感じで、振り回される人々は大変そうですけど。
土御門の当主に就任しながら、呪の世界そのものの前途は暗いと達観していた面もあったようですけど。
陰陽寮を再建するから、陰陽頭を任せたい、という軍人からの依頼をすげなく断ってましたし。
それで引かずに、何度もアプローチを駆ける相馬も根性あるなぁ。いや、軍人として職務に忠実にふるまっていた、という面も多分にあるとは思いますが。
結果として創設された陰陽寮のハチャメチャっぷりも好きですよ。
戦乱の気配が近づいてきている中でも、呪の世界という闇に近い場所でも、笑いあえる居場所を作る事が出来たのは良かった。
……様々な思惑が入り混じり、危うい気配がどんどんと差し迫ってくるあたりは恐ろしかったですけどね。