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「簡単なことだろ。わかれよ」

怒りに震える声で、香屋は叫ぶ。

「死ぬのはいつだって、最低で、最悪だろ」

 

1巻の最後、トーマと再会した香屋はそのまま友人に刺されて。

安全に香屋を平穏な国に入れるための工作で、ちゃんと怪我の治療はしてくれてましたが。

久しぶりの再会でナイフ持ち出された後でも、「それが必要な事だった」と理解して、変わらず会話を続けられる二人は中々神経が太い。

お互い無駄なことはしないっていう信頼があるからこそ、というべきでしょうか。

 

そして友人との平和な交流は長く続かず。

最大手チームの2つ、「平穏な国」と「PORT」がついに交戦しそうだ、と予想し阻止するために動き出すことに。

架見崎の最強プレイヤーが、1人チームって言うのには少し驚き。

駅に拠点を持つ、電車を待つ男。香屋とトーマは彼に接触し色々と交渉していました。

その間に秋穂に手紙を送って、ミケ帝国で動いてもらったりもしてましたね。

 

香屋と秋穂が、今回はほとんど別の場所で行動しているのに、判り合っているような感じがするのはいいですねぇ。

これまでに積み重ねてきたものがあるのだと実感できる。

まぁ、微妙に齟齬があったりもするようですけど、なんだかんだ上手い所に辿り着けるのは、コンビとして優秀だからでしょう。

 

平穏に捕まっていたキドが戦線復帰して……仕込みがされていて、緊張状態を作る場面もありましたが。

ちゃんとそれを予想していたあたり香屋は優秀ですね。予想していたというか、手を打っていたというか、イカサマしてあったというか。

「幼い少年だけど、彼の言葉を無視する気にはなれない優秀な予想屋」とか「それは予想屋よりも詐欺師に向いた才能」とか本人のあずかり知らぬところで好き勝手言われてましが。

そういう評価を受けるのも納得できるような言動を貫いていたからなぁ。

 

12巻を通して、平穏な国とミケ帝国の描写が多めでしたが……PORTの連中が結構気にかかりますね。

情報を色々集めて、いくらか架見崎の真実に近づいているようですし、イドって言うプレイヤーは香屋たちと同じく「ウォーター&ビスケットのテーマ」の愛好家っぽい感じがしましたし。

シリーズ続いて、この街の真実が明らかになるのを楽しみにしています。