あるかどうかは分からないけど、まず「ある」と信じてしまう。その方がうまくいくから。
「……なんだか、いいかげんですね」
「人間の叡智ですよ」
青藍病という、心の不安に根付いた異能を発する病気。
原因も不明、能力の表れかたもそれぞれ異なって。
周囲の動物に攻撃される能力とか、相手の年収が分かる能力みたいな使い道どこよ、みたいな能力があれば、危険な能力もあって。
念じるだけで生き物を殺せる能力みたいな、ヤバさしかない能力もありましたねぇ。
別々の能力者について語られた短編がまとまっている形ですね。
「犬が光る」、「この世界に二人だけ」、「年収の魔法使い」、「嘘をつく。そして決して離さない」の4章から構成されています。
元々が心の不安に根ざしているため、思わぬ事態になって慌てふためく、何て場面もあったりしましたが。
概ね能力と向き合って着実に前進したのは良きことでしょう。
青藍病を研究している静先生がいいキャラで好きです。
動物が好きで、相談相手がペットを連れてきていると途中で撫でまわしたりしていて、何というか和む。
あと、発症者達が静先生と話をして、他の発症事例を聞いて感想を零してるところが個人的にはツボです。「おかしな人もいるらしい」とか「とんでもないのもいるそう」とか短い言葉で他の話とのつながりが見える、こういう演出が好きなんですよねぇ。