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 人はキマイラだ。身体は一つでありながら、決して両立しない二つの意思を抱え込むことがある。どちらが真実、というわけでもないのだ。愛しながら憎むし、沈黙しながら叫ぶ。

 

いやぁ、容赦ないわ……

って言うのが正直な感想。相変わらず苦い展開が多いと言いますか、傷口に塩を塗るような容赦のなさがあると言いますか。

1話「金魚はどこだ?」、第2話「スウィート・マイ・ホーム」、第3話「ジュリエットの亡霊」の3話を収録。

 

第一話は、ジャナ研の隣に部室がある写真部で起きた騒動を解決する話。

良太郎と同じ部活の由香子は、強い。「その時が来たら、誰だって、戦うべきよ」と言って。

それを実践し続けているんだから、強いというほかない。

自分で選んだことならば、諦めるな、と。それを強いるだけではなく、ちゃんと出来る限り協力するというあたりも、流石と言うほかない。

 

1話は、謎解きがうまくハマった感じではありましたが。

……2話、3話はまた謎が解かれても救いがないというか。

真実を公言するのを啓介が躊躇する気持ちも分かってしまうなぁ。

真冬がかつての出来事から、いなくなるまえの対話を望む気持ちも分からないではないですけれど。

 

2話の件に関しては、啓介の肩を持ってしまうなぁ。                   

家族だからと言って、無条件に愛情が湧いてくるわけでもなし。かつてはあったとしても、時の流れの中で、諦めてしまうことだってあるでしょう。

そして下手に手をだせば、状況を更に悪化させる可能性が高いでしょうし。とはいえ、他人の秘密を知って、それを抱えているというのもまた、重荷にはなりそうですが。

 

考えの差異から、啓介と真冬が疎遠になったところで、3話。

ユリの状況もまた厳しいなぁ。努力が実を結び、夢がかなう。それは絶対の事ではないけれど。これまで積んできたものを他者に台無しにされるのは、辛い。

啓介がどんどんと追い込まれている、と言いますか。真冬との関係に答えが出るのかとか思っていたら、それどころじゃなくなった感。