「……貴殿の行く道に光あれ。その意思が斬り開く運命を、あまねく神仏よ寿ぎたもう。
そして願わくば――戦友の未来が、一振りの剣のように誇り高くあらんことを」
「天鏡のアルデラミン」の作者が送り新シリーズ。
キンバリー魔法学園。その名の通り、魔道を極めんとする若人が集う学園で、在学期間7年を無事に終えることが出来るのは8割との事。
2割が何がしかのトラブルに巻き込まれ発狂したり、消息不明になったりするそうですが……
先輩方のぶっ壊れ具合を見るに、絶対2割で済まないだろ、って気しかしない。
忘れ物を取りに夜の学校に入った時とか、運悪くトップクラスの危険人物と鉢合わせたりしてましたし。
いやこれ、オリバーとシェラが的確に時間を稼いだから生き延びただけで、ピート一人だったら、或いは他の生徒だったら目も当てられない事態になってたろ。
その二人にしたって新入生にしては頑張った、ってだけで他の先輩のフォローがなければ詰んでたしな……
かなり派手にやりあっても、魔法がある故か、内臓引きずり出されるような怪我をしても死者出なかったりするって言うのもあるんでしょうが。
物語の主軸となるだろう、6人の新入生。
それらを取り巻く学園や先輩たちの状況などが、いい感じに描かれていましたねぇ。
今回の事件でキーパーソンとなったカティ、彼女も騒動を通して成長してました。オリバーの危惧していたように、優しすぎる彼女はどこかで折れてしまうのでは、と思いましたが。
初っ端から、価値観を揺さぶる事件に出くわして、それでも奮起できるなら大丈夫だ、と思えました。
こんな感じで、他のキャラの掘り下げをしていく展開かと思いきや、最後に爆弾放り込んでくるんだもんなぁ。
新入生であっても、彼は既に魔術師だった。技量の問題ではなく、精神の在り方が。
6人の関係が、いつか壊れてしまうんだろうなぁ、と予兆が感じられて震えた。