「……君の言う通りだ。レディ」
(略)
「そうだとも。忘れていたんだ。あんなにも、決心したというのに」
ハートレス達の目的。
それに辿り着いてしまったエルメロイⅡ世は足を止めてしまって。
あぁ、それはそうだろう。
彼が今の姿になった、その始まりなのだから。衝撃を受けない筈が、ない。
迷いの中に会っても、状況はどんどんと進んでいき。
ハートレスとフェイカーは派手に行動を開始したし。
冠位決議が迫る中で、他のロード達もどんどんと準備を進めていくし。
どれだけ気長に仕込みをしてるんだ、という話ですが、
そんな中に、状況が分からぬ仲でも踏み込んでいくことになるエルメロイ派の綱渡りっぷりにはハラハラしますね……
よくもまぁ、こんな罠だらけの場所で、肚のうちの読めぬ先達相手にロードとして活動してこれたな、ウェイバー。
ここにきて普段と違う姿が色々と見れたのも良かったですねぇ。
ロードが居ない中で事件が起こり、ライネスの呼び方を「姫様」と変更して上下を明確に示すスヴィンの姿とか。
歩みを止めてしまったⅡ世と、引きこもってしまった彼の部屋に入り、声をかけたグレイの事とか。
他にも見どころがあって冠位人形師が英霊と戦う場面とかも良かったですが……
個人的に気にいってるのは、メルヴィンが心を折られた場面。「少なくとも数か月は逆らえない」的に書かれてるところでしょうか。
大魔術を成立させる域の魔力を感じ、心を折られても、逆らえない期間数か月なんだ……ってあたりがツボでした。彼も魔術師だなぁ、という感じで。
とはいえ今回のMVPはグレイでしょう。彼女が、Ⅱ世の側にいた事が、本当に幸いでした。
王に会おうとしたⅡ世が、そのために打った手のひとつでグレイと出会い。聖杯戦争を諦めハートレスを追う中で、王の影がよぎり動けなくなってしまった彼を、グレイが引き戻す、というのは中々物語的というか。皮肉、とはまたちょっと違うかな。
でも、グレイが居なかったら。そこでハートレスの目的が明らかになったら。Ⅱ世、本当に動けなくなった……どころか彼の側に転びかねない危うさがありましたからね……
グレイの事以外にも、これまで彼が積み上げてきたものが、彼を動かして。
更には、最後の最後、あがけるだけの状況を作れたんだから、素晴らしいのひと言。