「本日、ローゼマインが全ての講義に合格してしまった」
「ヴィルフリート兄様、……合格してしまった、というのは一体どういう意味ですか?」
「もう少しゆっくりでも良かったという意味だ」
冒頭のこの場面がまず笑える。
その後、ローデリヒに問いかけられ、アーレンスバッハとの間に生じた問題について語って。
甘い対応だとヴィルフリートには注意されていますが……ローゼマインの優しさに救われている自分についてちゃんと勘定できてない辺りはやっぱりまだ未熟さが目立つ。
ローゼマインが異質なんですけどね。
他には宝盗りディッターと騎士たち周辺のエピソードも好き。
ローゼマインが経験と知識をちゃんと活用しているところとか。
その発想についてこれない騎士たちの動揺と……トラウゴットの抱えた不満。
後々問題になるだろうなぁ、と思ったら祖母のリヒャルダに見捨てられるほどのもので、思った以上にばっさりいってました。
トラウゴット自身に危機感がないのが一番危ないですけど、この後どうなるやら。
下町との距離がまた遠くなっていって。
ベンノが出来る範囲でフォローしてくれているのがありがたいなぁ。商人としての判断も当然ありますけど、情があっていい感じ。
巻末の短編はアナスタージウス視点の「直接の求愛」。ローゼマインに影響されて直談判してる辺り、行動力の化身かよ……愛は盲目。
レオノーレ視点の「主が不在の間に」は色々と新事実が出てきて目から鱗。
ローゼマインの側近たち、ライゼガング系からヴィルフリートの評判予想以上にボロボロだったって言う所とか。
レオノーレから、ローゼマインの甘さが「襲撃を受けた後も正当に評価している」とみられて「主に相応しい」と判断されている部分とか。
ルーフェン先生からのディッターの再戦申し込みに、騎士たちの指導に入ったレオノーレが一枚噛んでいたのが衝撃的でした。既に中々の策士なのでは……