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「目に見えないものの方が、長続きすると思います」

「目に見えないもの?」

「はい。形があるものは、壊れやすいですから」

 

紅玉いづきさんの帯文にある《誰にも語り継がれないお伽噺》という文句が秀逸すぎて、感想もうこれだけでいいんじゃないかな感。

悪戯好きの魔物たちが本を集めている「最果て図書館」。お伽噺にも出てくる不思議な図書館。

 

そこの館長のウォレスは記憶を失っていて、時折魔物たちから情報を集めようとしていますが芳しくはなく。

ある日、倉庫に置かれていた鏡が他所の街にいた少女の姿を映し出して。

向こうからもウォレスの姿が見え、会話もできるという事で、二人の交流が始まるわけですが……

 

この世界には、世を乱す魔王を勇者が討伐する、という話があり。

それと同じような状況が今まさに発生していた。神託が下った勇者の手助けをしたいという少女にウォレスが知恵を貸して。

図書館だけで完結していたウォレスの世界がどんどん広がっていくんですよね。

そんな中で彼は自分の記憶を取り戻したりしていくんですが。

 

不器用なキャラが多いなぁ、と。もう少し気楽に生きることもできたのではないか、と思ってしまう。

魔王と勇者の争いに、ウォレスは中立を決め込んでいましたが……現状を打破するために動いていなかった、ってことなんですよね。

 

別のキャラで言えば、勇者も最初は魔王との戦いに乗り気じゃなかったけれど、周囲の状況がそれを許さなかった。

誰もが遠まわりする道に回されて。その過程で、失うものだってある。

リィリの手放したものなんか最たるものでしょうけど。ただ、最短距離で進めなくても、不格好であっても、最後にはちゃんとその道を歩き出してるのが良かったですね。

これからより良い方向に、よりよい未来に辿り着いてくれるだろうと思える終わりでした。