ico_grade6_5

「後悔しませんね?」

「お前といて後悔したことは一度も」

 

172月刊行の同人誌。

Unnamed Memory』の番外編。

小説家になろうの方にも再録された「奇跡のような嘘を貴方と」(17年夏コミ頒布ペーパー)みたいな、消された試行の断片なんですが。

出会い方が違っても。オスカーとティナーシャが隣り合う、その関係がただ尊いと感じる。

 

ティナーシャ視点で話が進みますが。

ちょっと休憩するつもりで横になった数時間の間に塔を踏破されたら、そりゃ驚くよな……

塔で眠っていた少女をオスカーは魔女と思わず、魔女に囚われている下女か何かと誤解して。彼女を連れて塔を降りることに。

「魔女の怒りを恐れないんですか?」「怒られたらその時謝るさ」

契約者と魔女とは違う距離で、ファルサスで過ごす二人の姿が新鮮でした。

 

そしてヴァルトが現れて、オスカーの事を彼が前に居なくても「王」と呼び続けるその姿をティナーシャに指摘される、という流れが好きです。

「彼は王以外の何物でもないよ」。一体どんな気持ちで、この言葉を口にしたのだろう。

多くの蓄積を経て、都度全てを教えることを諦めた。

それでも行動を止めない彼はかなり手ごわい手合いだと思うんですが……幾度の試行の中では、こうあっさり退けられるパターンもあるんだな……

 

「彼がそう望むなら叶えないという選択肢はない」っていう一文があったんですが。

もうティナーシャ、オスカーの事本当に大切にしてるんだなぁ、というか。彼女にとっての唯一だというのが、よくわかる。

やっぱり『Unnamed Memory』はいいな…と実感しました。