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「獅子の牙は己の力を誇示するためにあるわけではありません」

(略)

「友のため、弱者のため、あるいは己が王と認めた強者のため、獅子はそのために牙を揮うんです」

 

4月刊行だけどクリスマス回だよ! という日常イベント回かと思いきや、それもちゃんとやるけれど、シリアスもしっかり入ってました。

まぁ、ファンタジー世界なので名称は「アーシエル・イルメーラ」となってましたが。

教会由来の、親しい間柄で贈り物をする日。

裏路地の孤児たちすら知っていた催しを知らない安定のザガンの不憫っぷりに涙が出そうになりました。

ちゃんとその後情報を得てプレゼント用意してましたけどね。ネフィをちゃんとデートに誘ったりとか、そういうイベント逃さないよな、ザガン。

 

フォルはザガン配下の魔術師達と、ザガンへのサプライズパーティを準備して。

ネフィやネフテロス、シャスティル達三人娘も贈り物の為にちょっとしたバイトをしてたり。

女性陣は準備に抜かりなく。ゴメリが愛で力が溢れてるとまたテンション上げてましたね。ぶれないな、あのお婆ちゃん。

 

サプライズを成功させるために、ザガンの注意を逸らすべく無茶をしたりもしてて……そこまで愛でる為に力を注げるなら、本物だよ。尊敬しそうになった。

……でも、師匠のオリアスの御仕置から女の子愛でるために逃げてきてるんだよなこの人……

あとさらっとキメリエスとの出会いの片鱗が描かれてましたが、え、昔はキメリエスあんな感じだったの?! 衝撃的だ……

 

そして今回初めて名前が出た、教会に派遣されているザガン配下の魔術師、シャックス。

治癒魔術が得意で……かつては別の魔王の下にいた過去を持っていて。

彼も中々いい性格してましたねー。ザガンから医療魔術の使い手としてネフィやネフテロスを例外とすれば「この世界でも五指に入る」とかなり高評価されてました。

 

表紙にも登場した黒花が、彼と出会い、祝祭の日に起きた騒動を経験し目を治そうと思えたのが何よりです。

ラーファエルが親バカ披露して、それを見たザガンがフォルの時に同じようにならない自信がない的な事を言ってて、聖騎士長や魔王の親バカは冗談にならんぞ……とは思いましたけど。

 

魔王シアカーン。

昔起こした騒動のせいでほぼ再起不能状態のようですが、ザガンの継承の時にはちゃんと来てたんですよね。アンドレアルフスみたいに影武者でもいるんでしょうか。

……あと魔王や魔王候補は名前を72柱の魔神から取ってると思ったのでちょっと意外。ゴメリみたいな例外もいますし、バルバトス、キメリエスみたいに魔神の名ついてても魔王じゃない例もありますが。

その弟子が72柱由来のシャックスって名前なのにはちょっと皮肉を感じると言いますか。

なんか厄介な同盟が結ばれていたので、シアカーン張り倒した後、シャックスが刻印継いだりしたら燃える展開かなーとは思いました。戦闘力ないから無理かなー。

 

シアカーンが何を望んで過去の事件を起こしたのか。望まれぬと分かっている願い、その結果世界が滅ぶかもしれない、という気になる部分が多いので、シアカーン絡みのエピソードはまたいつか掘り下げて欲しいですねー。