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「大丈夫。どんな未来がくるとしても……あなたがいてくれる限り、私は幸せだわ」

 

後書きによれば「日本のとある地方都市を舞台に、侵攻して来る異形と、迎え撃つ異能者のお話。そして少女二人の深い情のお話です」とのこと。

作者さんの「好き」が叩き込まれた本作も、面白かったです。

 

異能者達の寄り合い、廃城機関。

町の治安維持に動いているが、内部での権力争いもあって。

特に力を持つ古三家があるけれど、異能者の位持ちには外部からの成り上がりも混じっている。

 

当代最強の能力者である少女、亜貴妃も三家の内の1つの出身で……女である関係から、機関では第二位。いずれ第一位に相応しい男がその座につき、彼女を妻にする、という。

旧家らしい柵もあるようです。

とはいえ彼女自身は、それにさしたる感慨もなく。機関の外で出来た友人との時間をただ大切に過ごしていた。

けれど、それすら横やりが入る、って言うんだから世知辛いですねぇ。

 

亜貴妃と友人のメイ。

お互いがお互いを大切にしていて……大切にするためなら、他の全てを切り捨てそうな、愛の重さというか深さというべきか。

まぁそうした情念の強さが、未来において世界を変える原動力になるんでしょう。……どんな形であれど。九割くらい世界滅びそうですけど。

 

メインの少女二人の交流も好きなんですが。

その二人を除くと、機関第六位の緑谷さんが好きです。

外部から来て、異能に目覚めて。機関内で位を得てそこそこ発言力もある。

独自に情報を収集して、異常事態に気付けるだけの洞察力があって。

――そして過去を忘れずにいる強さがある。

亜貴妃に情報を渡したり、急場で彼女を先に進める為にフォローに来たりと、こういう要所を抑えてるサブキャラが結構好きです。