正式名称は『月の白さをしりてまどろむ』。
月白の百題は5個目にしかなくて、だいたい第伍譚読了後推奨な感じですねー。
「この世の真理」は物語開始前の王と巫のエピソードなので、コレは先に読んでもいいですが。
……でも、王の巫の願いについて描かれている話でもあるので、本編読んでからの方が、オススメかなぁ。
no-seen flower 100題感想
作品別。表記は
【100題の番号-100題内の番号『タイトル』】
例:100題1の1.洗脳の場合は1-1『洗脳』。
5-17『先祖返り』
「でも、シシュに会えたからいいの」
サァリの力が特に強い事について、シシュとの会話。
大変だったなというシシュに、貴方に会えたからいい、というサァリが強い。
会話をしながら、シシュが次代のための飾り紐を作っているのがまた良いですねー。
5-20『神の名の下に』
「全てを……胸の内に納めてくださるというのなら」
シシュが見覚えのない帯を身に着けたサァリ。
流石に夫婦になった後は、帯の違いにも気づき易くなったのかなぁ。
……本編第参譚『帯(おまけ)』では、しばらく気付いていなかったのが描かれていたというのに。
成長っぷりにちょっと涙が……
サァリが滅多に使わない商談に使っていた客室に通された「特別な客」。
それに対応するお話ですが……お相手は随分と迂闊な。
怒りと紙一重の上機嫌をとったサァリが、迫力あります。
娼妓なだけでなく妓館の主なんだよなぁ、と思えるエピソードで良き。
5-23『女神の祝福』
「―――― ね、いいことあった?」
巫が扱う術についての覚書。
シシュがうっかり「もっと巫は力技しか出来ないかと思っていた」とか言うもんだから、サァリも向きになって。
最後の問いを発してるサァリが可愛くて好きです。
あと、おまけで「犬に好かれる術」をかけられているシシュも笑える。
5-36『王位争い』
「シシュは、ずっとアイリーデにいてくれる?」
王の異母弟という立場故、サァリと結婚しても、彼に取り入ろうとする人は居て。
すげなく追い返されてるようですけどね。
巫の血を引く子を国には渡せない。巫のために在ると決めた。
シシュは重心を決めたら梃子でも動かない安心感がありますねー。
5-42『謀反』
「勿論あなた様にお会いする為にでございます」
本編第二譚のおまけにも掲載された、王と巫のエピソード。
彼女がいかにして、王の側に辿り着いたのか。
自らの力を存分に使った彼女の旅路が、流されるものではなく、進んでいくものになった。
王の巫、ベルセヴィーナ。彼女の言葉によって、シシュとサァリが出会う事になったわけで。
どうしても嫌いにはなれませんね。
5-68『取り引き』
「いや、懐かしいと思って……」
客取りをしてから、サァリが巫として化生斬りの要請を受けることが減って。
それは化生が実態を持つことがなくなったのと同時、シシュがその力を活用していたからで。
寂しく思ったために、シシュに同行したいと言って。
彼も懐かしんでるのがいいですねぇ。出かけた先で蛇に出会わなければ、穏やかなだけで終わったでしょうが。
いやぁ、薄れているとはいえ、ハラハラしました。
5-76『密会』
「―――― この方は、わたくしのものです」
王弟としてのシシュを求める相手が訪れて。
シシュがかなりばっさり切り捨てて、最後にサァリが追い打ちかけてて笑ってしまった。
第陸譚の前のエピソードですねー。「巫は巫だ。外にあわせることはない」と短い言葉で彼女を肯定してくれるシシュが格好良くて好き。
5-78『寵愛』
「私ね、シシュと一緒でよかった」
客を迎えた巫とシシュの日常。
シシュの誠実さは街の人々にも受け入れられて。
二人が幸せそうで、見ているこっちも思わずにやけてしまう。
5-96『この世の真理』
「先視とは、つまりはどういうことなのかな」
王と巫の会話。物語が始まる少し前、シシュがアイリーデに行く切っ掛けとなるエピソードですね。
巫が命を代価に挑んだ賭け。彼女が何を思っていたのか。
先見の能力を、とことん使いこなした、立派な巫だったと思いますよ。