百題2のみです。
作品別。表記は
【100題の番号-100題内の番号『タイトル』】
例:100題1の1.洗脳の場合は1-1『洗脳』。
「no-seen flower」百題感想 Unnamed Memory編
WEB小説 古宮九時 藤村由紀 no-seenflower UnnamedMemory 百題
2-4『終わらない時』
「いつまで俺たちは、変わらないでいられるんだろうな」
逸脱の始まり。ティナーシャがはじめて帰って来た日のオスカー視点。
『青の部屋』に至るまで、彼が対となる彼女に伝えられなかった、喜びの話です。
2-6『儚い関係』
「ってわけでこれで出来上がりよ。永久ハゲ薬」
ティナーシャがまだルクレツィアの下に居た頃の一幕。
えーっと振られた腹いせにひどい復讐をしようとしてる、魔女怖い。
2-8『愛しい手』
「トラヴィス! 起きて頂戴! 今日は出かけるって言ってあったでしょう!」
後見人としてのトラヴィスは、約束をしていても起きてこないことがままあって。
他家を訪問するにあたって後見人としてついてきてというオーレリア。
後で記憶操作してやるというトラヴィスの相手は大変そうですね……
2-10『腐っていく玩具』
「やってくれたな。虫けら風情が」
残虐表現アリと注意書き付き。
トラヴィスとレオノーラの話。上位魔族と魔女の話でこの断りが入ってると怖くて仕方ないですね……このトラヴィスを見るとオーレリアの横にいる時の彼に人間味を感じるようになります。ちょっと。
2-15『暗い空』
「しかし、少しずつ魔法技術が進歩しているといっても、なかなか失われたものには到達できないな」
大雨が降るファルサス。ちょうど下水設備を新しくしたから、排水量が増えた時に問題がおきないかチェックできてちょうどいいとオスカーは言ってますが。
そこから、過去の技術の話になって。二百年前の小国ルイスが作ったものを原型としているが、今なお不明な点も多いと言って。
魔女の返答が、お前は……という感じで笑えて好きです。
2-19『鮮やかな轟音』
「止められるか? 止められないだろうな」
オスカーの子供たちの姉弟喧嘩。
えーっと制止役のウィルはお疲れ……
異常気象が起きたかのような様相が、比較的いつものこととかファルサス怖い。
2-21『遠い微笑』
「だけどはなし。―――― それよりも学びなさい」
ティナーシャが契約により一人前になるそうに育てた王ニース。
契約が満了し魔女が去り……彼は、塔を訪れなかった。
けれど記憶の中には彼女が見せた微笑が残っていて。良い短編でした。
2-22『近い距離』
「お前、力ないな」
オスカーとティナーシャ夫妻の風呂。
夫の背中を流すティナーシャが楽しそうです。
楽しそうだから何度か言わずにいた事をついに言って……腕力強化しましょうかと回答が出るあたり、言っておけばよかった感。まぁ、そういう事もある。
2-25『失われた歌』
「貴方がいます」
逸脱した二人。
亡き国の歌を歌うティナーシャにオスカーはいくつか問いを重ねて。
断ると分かっていて、聞いたオスカーが自分を卑怯だというのも、彼の優しさも分かる。
ちょっと苦みも感じる、夜に響く歌の話。
2-30『堕ちていく倦怠』
「お前を今死なせるのは惜しい。気が変わったと言えよ」
武官としての振る舞いを続けたデファス。
部下にはラジュが居て、彼との戦いを楽しんでいた。
最期の戦いに至るまでの彼視点はこれはこれでアリ。楽しかったです。
『双頭の蛇』の該当部分読み直してくるくらいには。
2-32『岐路を辿る』→Voidの項
2-33『消えゆく感情』
「負けないで」
違法な競りをやっている拠点を訪ねたオスカー。
何がしかを目的にやって来た彼に、少し惹かれた裏社会の女の話。
競りの最中に騒動が起き……彼は二度と来なかった。けれど、負けはしなかっただろうという確信だけがあった。
2-34『焼き付けた足跡』
「ティナさんがいなくなると淋しいですね」
ティナとラジュが、モーラウに別れを告げに行く話。
彼女が最後に見せた貌を忘れる事は一生ない、というのが良いですねぇ。
モーラウいい性格してるので好きですよ。
2-40『神秘的な痕跡』
「貴女は強い人ですね」
青き月の魔女、その塔の最初の達成者の話。
貴族の道楽で村が水不足で困っていて、それの解決を願った。
根幹の問題である貴族の城の方にも手を打ってる辺りは抜かりないですね……
2-43『緑の森』
「今日はお礼を申し上げたくてきました」
行商をしているデトスは野犬に追われ、森をさまよっていた。
そこでラヴィニアという女に出会い、助けられ。
……後日、お礼を言うために再度訪れた。ラヴィニアの秘密を知ってなお離れかったそうですよ。
2-44『青い風』
「さて、準備はこれでいいですかね」
逸脱した二人が、魔女の塔を解体し新たな拠点を築くエピソード。
まぁ主に活躍するのはリトラなわけですが。有能。
2-46『灰色の取引』
「なら治して」
トラヴィスとオーレリアが交わした、魔女を救うための契約。
それを知らずにいたオスカーが後に粘着言われたりするのがなぁ……とちょっと遠い目になるんですが。それでも諦めないオスカーが好きなのでコレはコレで、と思う自分も居る。
2-49『黒い沼』
「よし。俺が悪かった」
ティナーシャの目を掻い潜って、血吸い虫がでる沼にきたオスカー。
例によってラザルも一緒で。彼を連れた上でティナーシャの隙をつけるとか、無駄な技術ばかり磨かれてないか。
最終的にはばれてましたけど。そりゃばれるよ……
2-52『繋いだ指』
「足の大きさも比べてみたいです」
ティナーシャの暇つぶしに夫にまとわりついているティナーシャが可愛いです。
もうこれだけでいいんじゃないかな、この話。
2-60『舞い散る恋』
「まぁまぁ、そう怒るな。最後だから付き合ってやるさ」
RS名物、愉快な王子アリスティドに求婚されてばっさり切ったティナーシャ。
決闘を申し込まれて、最後だからと受けるオスカーは付き合い良いですね……
相手を立てながらも危なげなく勝つ当たりすごいわ。
2-62『朽ちた王冠』
「だが王とは、民を守る精神そのものだ」
残虐描写ありの注意付き。
ファルサスに置いて生まれた、狂王ディスラル。
その最後に立ち会った、王剣の持ち主の話。
ディスラルの最後の呪詛が、EoMを思うと苦しい。
2-64『記憶の階』
「その時は再び出会って……もう一度恋をしましょう」
まだ記憶を取り戻していないラジュとティナーシャ。
妻を大切にしてるラジュが、問わない事。彼の抱いた愛情。
新婚生活満喫してるエピソードですね。
2-66『久遠の継承』
「目を、見せて」
魔女の子であった、ロザリア。
彼女が子を産み、知ったこと。呟いた感謝の言葉が温かい。
2-69『翼を狂わせる』
「朝までには、出て行くから」
失われた片翼。オスカーの遺体を、城に返しに来たティナーシャ。
律儀というかなんというか。彼女自身が言ったように、子供たちが居たから踏みとどまれたんでしょう。
たった一夜の、いくつか言葉を交わしただけであっても、そこで少し現実に帰って来れた。
喪失は大きく、彷徨う彼女の嘆きが悲しい。
2-71『ひとかけらの残照』
「何しに来た、魔女。俺の退屈しのぎにつきあう気があるのかー?」
ラルスとオルトヴィーンと、魔女の話。
記憶を取り戻す前の少女をしるオルトヴィーンには衝撃を受けてましたが。
魔女の助力を断った彼に敬意を。
2-74『微かな香り』
「い、いえ……気に入りました。嬉しいです」
オスカーから、自分の者ではない香りを感じて。
泰然と構えてましたが、嫉妬してましたよね。
誤解と分かってましたが……いちゃつきやがって。いいぞもっとやれ!
2-75『些細な齟齬』
「来い来い」
魔女に耳掃除を頼むオスカーと、過去に曾祖父で失敗して学習したというエピソード。
似た者な血筋というか。いやまぁ、魔女関係を選ぶ辺り父にも似てますし。
わりと我が強いですよね、ファルサス王家。
2-80『最期の夜』
「なかなか面白かった。もっと早く滅びてもいいくらいだけどな」
レオノーラが戯れに滅ぼした国の話。
トラヴィスも噛んでたらそりゃあ大抵の国は亡ぶよ……おっかない。
2-81『可愛い不安』
「可愛いです」
逸脱後。オスカーに相手が子供だったら弁えろ、と言われて。
翌日にティナーシャが魔法でオスカーを子供にして。
「実際子供だったらどんな風なのかなー」と思ったとか。「言った端から弁えてない!」というツッコミが全て。
2-83『憎らしい応酬』
「貴方はいつもお疲れのように見えますね」
鳥籠の中のティナーシャが自爆してました。
痛々しい沈黙と地の文での描写が、チクチク来ましたね。
2-85『守るべき望み』
「フィストリア様! ちゃんとなさってください!」
式典を抜け出そうとしたフィストリア。
脱走はなに、ファルサス王家の伝統なのってくらい抜け出すなこの王族。
未婚の王女かつ魔女という存在は諸侯を迷わせる存在で。
けど、窘めてくれる相手が近くにいるのはいいですね。
2-86『初めての話』
「よし、あれをとろう」
幼い頃のオスカーとラザルの話。
もう初めての出会いからして、オスカーに振りまわれているラザルが哀れ。
彼も実は属性不憫だったりしませんか。
2-89『満たされない夢』
「人はどんな悲劇でも越え得る力がある」
オスカーを失い、少しずつ狂っていったティナーシャ。
けれど、彼の言葉は残っていて、残ろうとする意識があって。
諦めずに探査し続けて、ついに見つけた。うん、久しぶりの再会で抱き付いたのもこれを見ると納得してしまう。
2-91『暖かな目覚め』
「もしかして、起きられないのか」
鳥籠に珍しく朝送られたアルファス。
もうしみついた習性というか治らない体質ですよね。
弱っている方が可愛らしいと思ったとか。
2-94『この手に余るほどの真』
「あら、珍しいものがいるじゃない?」
珍しいからという理由で精霊捕まえるルクレツィアが怖い。
そして気に入ったから抱かれて、指輪を贈った。
センがそれを帰して後も、奇跡のように彼女の名を思い出すというのが尊い。
2-95『透明な水滴』
「普通でいいのに。最初に会った頃はあなたもっと意地悪だったでしょ」
ルイスとシエラが踊りの練習をする場面から始まって。
子に恵まれない夫婦だけど、幸せは得た。この二人の関係も好き。
UMは好きで溢れている……
2-98『薄れていく慨嘆』
「お前は変わったけど、変わらなかったよな」
二十八になったオーレリア。
彼女の隣には変わらずトラヴィスがいて。
変化したものもあるけれど、変わらない確かなものもある、そんな話。
2-100『かりそめの御伽噺』
「私は、あなたの傍にいたい」
オスカーと顔に火傷を負ったリウクレアという少女の話。
これだけやけに文章量が多いですけど良いエピソードですよ。
言っても通じないとはいえオスカーが事情を明かさず、けれど彼女を尊重して。
婚約者が取り戻しに来ても、残ることを選んだリウクレアが好きです。
2-101『アンケートお礼SS:嘆息』
「俺が許してる。お前はちゃんと人間を好きでいろ」
緑に呑まれたかつての居城。
必要であれば人が戻すだろうと、オスカーは言って。
それを優しさと魔女は受け取った。
2-100の後のエピソードですね。良い後日談でした。