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「……だから、あなたは〈葬儀屋〉なのですね」

『それもあります』

 

気になって買ったくせに積んでたんですが、一読して、「なんでもっと早く読まなかったんだ!」と嘆く位には面白かったです。

読み終わって翌日には残りの巻全部買ってきました。少し懐寒くなったけど、満足。

 

隣国の開発した無人機レギオンによる侵略を受けている共和国。

抵抗しなくては死ぬ状況で、共和国がとった戦術は最悪の極みともいえるもので。

85区に人民を集約し、入りきらない者を切り捨てた。彼らは存在しない86区の住人。

エイティシックスの烙印を押された、少年少女を搭載した「有人の無人機」を持って、共和国は戦線を維持していた。

 

人はここまで醜悪になれるのか、みたいな闇がそこにはあって。

ただひたすらに震えた。有色人種を追いやって、自分たちは塀の中で安穏と日々を過ごしている。パーティーなんか開催して、暢気なもので。

現状を打破するような光明も見えない道を、ただひたすらに進んでいる。

特殊通信で補佐する軍人もいるものの、職務に忠実な人も少なくて。詰んだ国って言うのは、こういう事を言うんだろうなぁ、という絶望が見て取れる。

 

P126のラフィングフォックスの叫びは、かなり痛かった。

読んでいるコチラにも苦しさが伝わってくるようで。……それでも読むのを止められない、熱量が同時に存在しています。

逆境と呼ぶのすら生ぬるい状況で、それでも日々を生き、戦い、行き着くところまで進んだ彼らの生き様に見惚れました。