「行く手を阻まれても、背中をどれほど押されても。ゆらいだりしない、フラットな気持ちが……一番強いんじゃないかとは、思います」
かつて神隠しにあり、妖怪などが見えるようになった青年、叶義。
彼の相棒は、つくれないものはないという美貌の青年、牡丹。
二人で飴屋を営む彼らの下には、通常の飴を求めるお客の他に……妖怪を象った「妖怪飴」を必要とするお客が訪れる。
それは別に噂を聞いて足を運ぶとかではなくて、運命のように彼らの前に、問題を抱えた人が転がり込んでくるんですが。
叶義の友人、道理だったら彼がお人よしだからというかも知れません。
多くの人には見えずとも、人の世界の傍には妖怪たちが居て。時に幸いを、時には不幸を与えてきますが……
飴屋の二人、とくに叶義の方が真摯に対応しているのが、何と言いますか嬉しかったですね。
人と妖怪の境で、上手く生きている。幼少期に境を区別できず、踏み込み、神隠しにあった叶義ならではの距離感や葛藤が読んでいて楽しかったです。