「ケイタも、そう言うと思ったんだろうね。彼から、伝言を預かってるんだ」
同じ高校で、いつも一緒にいたグループ5人。
部活も、付き合いの長さも違ったけれど、確かに友情を育んでいたのだ。
けれど、メンバーの一人である恵太が死に……4人の前には、彼とうり二つの幽霊が現れる。
彼は、死んだ恵太の最後の願いを、叶えて欲しいという。
全てを信じたわけではないけれど、4人は彼が歩いた道のりを辿っていくことに
死んでしまった友が何を考えていたのか。
自分達の事を、どう思っていたのか。
どうしたってそんなことを考えてしまうわけで。
5人は確かに良く一緒にいたけれど、相手の事をすべて知っているわけでもない。
それぞれに見えていなかった想いや、抱えていた後悔が表出して。
いやぁ、痛い。死んでしまった友にはもう謝れないし、一度口に出した言葉は戻せない。
でもこの道を歩くことが出来たのは、4人にとって救いだと思うんですよね。
だって彼らが抱えていた悩みは、死者である恵太へのもので。本来はもう行き場のないものです。重たすぎる荷物を抱えた状態では、いずれ破たんしてしまっていたでしょう。
それを吐き出すことが出来て、ちょっとほっとしました。そうでなければ、治しようのない傷として残ったでしょうし。
この経験があったからこそ、絆が未来につながったとも思える。苦味を含んだ、良質な青春モノでした。