「……一気に成長していますわね、三人とも」
オリバー達が2年生に進学。
相変わらずキンバリーは、恐ろしい学び舎であるようです。
入学に際した挨拶で、「去年死んだ生徒の数」をトップが告げてくるあたり怖いわぁ。
そして、震える新入生たちを歓迎する先輩サイドに、オリバー達がいるんですよね。
彼らの成長が分かって嬉しかったです。まぁ、読み進めると先輩方に比べてまだまだ甘くて青い部分も見えてくるんですが。
各々が未熟さを自覚し、現状を良しとせず、前に進もうとしていくのには好感が持てます。
実際、成果も出てきてますしね。ただ、魔道を極めんとするということは、魔の深みへと踏み込んでいく事でもあって、その辺りのバランスが難しい所。
一つ間違えれば、魔に呑まれる。カティなんかは、ナナオの抱えていた想いを聴いた時に、ありうるかもしれない可能性を見てましたし。
ナナオが、魔術師として初心者だったなんてことは関係なく、深淵はどこにでもあるのだと見せつけられたようで、あのシーンは震えましたね。
魔法都市ガラテアで、休日を過ごす6人。
料理を食べ、魔法生物店を訪れ。魔法使い専用の射撃場でゲームに勤しむ。
シェラとオリバーが、最高難易度に挑戦して、疲弊してる場面が笑えました。店員も慣れたもので「キンバリーモード」用意してる辺り流石。
他校生徒との諍いなんかもありましたが。キンバリーの恐ろしさばかりが目に入ってましたが、そうだよな、当然魔法技術が発展している以上、ほかにも学校あるよな……とちょっと目から鱗。
大分温度差がありましたけどねぇ。それもまた新鮮でした。概ね、2年に進学した彼らのキンバリーにしては平穏な日常回でしたね。
――もちろん、この作品が平穏ばかりを描くはずもなく。
シェラの父親の抱えている魔導士としての闇だったり、ナナオが対峙した人斬りだったり。
オリバーの配下、隠密役のテレサ=カルステの入学と、彼らが狙う新たな標的。
残り6人で、キンバリーが7年生ってことは、これ一年に一人ずつ慎重に削っていく形?
それともどこかで勝負に出るのだろうか。気になりますねぇ。
あと、表紙が女子3人って言うのが良いですねぇ。これ5巻が男子三人で対になっているデザインだったら私は万歳して喜びますよ!