「この先も壁はいくらでもある。盤上でも盤外でもな。心が折れそうになることもあるやろ。その時は、今日の棋譜を見返しなさい。最期の最後まで苦しむことを止めなんだ十四分間が、お前の才能の証明や」
竜王の就位式、連勝を続けている八一が結構大きな事を口にして。
まぁ、どこかでこけるかなぁ、と思っていたらこの巻の内だったので、相変わらず展開が早い……というか、山場がたくさんあるので、展開が密だ、と言う方が正確ですかね。
今回は、八一の師匠でもある清滝九段の物語でもありました。
級はどんどん落ちていく。かつて見た「老害」に自分がなっていると、実感したときの痛みはどれほどだったでしょう。
そこで折れずに、心機一転して学びに行ける姿には震えました。その年で、老いや衰えを実感しながら、変われるのか、と。
「清滝さんが妙なことを始めたらしい」と周囲から言われてましたが。新しいものへと踏み込めるのは、素直にすごいと思います。
尊敬できる師匠としてのあるべき姿を、見せてくれた巻でした。