「俺は、棋風は『憧れ』や『想い』が出ると思う」
女王への挑戦権を得た、天衣。
それは同門での対決を意味して、自らの姉と弟子が対面することとなって八一は結構大変そうでしたが……
『浪速の白雪姫』。女流相手に完勝を続ける、空銀子という棋士の置かれている環境を、初めて見る事になるんですよね。
八一や桂香も知らなかった、『白雪姫』に向けられる、むき出しの残酷な感情。
外から見ていただけの桂香ですら重圧に苦しみ、涙すら流したその圧を、彼女は感じ続けていたわけだ。
幼い挑戦者。今は亡き父母との誓い。
そうした物を背負い、追い込まれながらも最後には立派な挑戦者の顔になった天衣に脱帽。
戦いを通じて、良い方向へ成長してくれてました。
天衣の祖父や晶さんも、序盤でちょっと八一をまきこんでコントじみた事したりしてましたが、しっかり彼女を見守っているのが良かったですね。
けれど、彼女達でも彼女の凍った心は融かせなかった。
なぜなら、彼女の魂は将棋の形をしていたから。将棋を通して繋がっている師であり、熱い将棋を指す竜王ならば、と。
「悔しさと羨望を滲ませた声」で晶さんが言う場面が好きです。
しかし、その相手だった銀子の方はかなり追い込まれているというか後半の挿絵が満面の笑みの天衣から、姉弟子の背(表情が見えない)なのが演出として完成度高かったですね……