カクヨムにて10月1日より連載が始まった『銀髪美少女のヒロインなら養ってもいいと思いませんか?』。去る23日に、無事第一章が完結となりました。
キャッチコピーは「今なら後輩もセットでお得ですよ?」。
作者は涼暮皐先生。

しかし、謳われてはいるが6話目まで後輩は出てきません。
じゃあそれまで何が描かれていたかと言えば、涼暮ワールドである。
つまりヤバい主人公が、いかにヤバいかが描かれています。

ジャンルはラブコメになっていますが、私はコレはホラーであると主張したい。
なお、作者Twitterによると「ラブコメのコメは愚か」、「ラブは人類愛」だそうです。
「主人公の考えが甘い」事を指して甘々展開と言ったりされるお方です。
いや、この解釈には正直鳥肌が立ちましたね。怖い。

タイトルの「銀髪美少女のヒロイン」こと冬泉小姫。
彼女は基本的に引き籠っていて、主人公・佐野伊吹に介護されている。
実際彼が家に来ないと1週間ほぼ絶食する辺り、筋金入りである。
一方の伊吹もダメ人間を見ると、世話を焼かずにはいられないキャラで……。焼きすぎるぐらい。

「まったく冬泉は本当にダメだなあ。なんてダメな子だろう。本当こういうのよくないと思う。俺の仕事が増えちゃうよね。仕方ないなあ。やれやれだぜ」。

冬泉の世話をしている時の、伊吹くんの内心がコレである。
仕方ないのはお前だ!!! 
そしてこの二人の関係だけでも「強い」のに、中二病系後輩・銅燐まで登場してきます。

引き籠り、世話焼き、中二病。
それらの属性がそれぞれに在るのは確かですが……表面的な物に過ぎません。
彼ら彼女らは、過去に傷を負っている。トラウマを抱えている。
傷から目を逸らす、と言うのは一つの手ですよ。時間が解決してくれる事もありますし。
しかし伊吹くんは、自らのトラウマを物理的に超えようとしやがるのだ。
危険だから辞めようね……? 己の傷をつまびらかにすることで、彼女達と対等であろうとした。真摯な少年ともいえる……かもしれない。
けれど、現代地球の高校生が、ごく稀に未来を見れるなんて制御不能な能力を持っているとはいえ、「死なないなら、何とかなる」と言わんばかりに無茶をするのは、心臓に悪い。

リアルタイムで更新を追いかけられたので、各エピソードに感想を呟いていたのですが…その中で、こんな事を言いました。
「火のついた爆弾を背負ったまま地雷原に踏み込んでいく彼の姿には涙が止まりませんでしたね。え、そんな場面はなかった? いやいやまさかそんなー。」
四六時中こんな感じです。なんで進んで地雷原に踏み込むんだ……

エピローグ投稿時、涼暮皐先生は「喰らえ」と仰いました。
破壊力が凄い。人の心はどこですか……?
仕方ないのはお前だ!!! とか、私も言いましたが。
伊吹くん許さない勢の声が大きかったので、許さなかったよとお出しされるオチがあまりにも無情すぎる。強く生きてほしい……

まぁ、色々言いましたが、ある種の青春であることは確かのように思えます。
怖いですけど。重ねて言うくらいには怖いですけど。
更新されたら速攻で読みに行って、こうして感想書く位には魅力のある作品です。
現状だと銅後輩推しですねー。中二キャラ強いけど、懐いた後が可愛い。
……涼暮皐先生のことだから、この後も二転三転してこちらにダメージ与えてきそうですが。更新心待ちにしております。