「まぁ、君らしいやり方だな。勝算はあるのか?」
「なくてもいいです。どの道、他に方法がないので」
保護者からの意見があり、学校側ではプロムの自粛を求める方向になりそうだ、という話。
一度は内諾した以上、簡単に掌を返せないので、中止ではなく運営の自主判断に任せる方向だとか。
まぁ、頭ごなしに中止にしてこない分、柔軟なんじゃないですかね。平塚先生も、八幡にひっそりと状況を教えてくれてますし。
とは言っても、個人の裁量で出来る事など限られているわけで。
そんな状況で、一体八幡が何をするのかと思ったら……まぁ、いつもの彼らしい、卑屈なやり方でした。
彼は彼でスペックそこそこ高いし、行動力もあるんですよね。条件が整わないと、本気にならないだけで。
「ヒッキーにたまにすごく頭悪い……」とか。「君のやり方はまちがっている」とか「もっと簡単な方法あったんじゃない?」とか方々で言われてますが。
「簡単なものが一番難しい。俺にはこれが一番簡単だっただけだ」
と言うのが、結局は彼の軸というか。どこまで行っても不器用な彼らしい関わり方なんですよねぇ。
あぁもうまったく面倒くさい人だな。その面倒くささが、彼の魅力で、それまでの積み重ねもあって協力してくれる人々が居るわけですけどね。
葉山と八幡の、真逆だから少し通じる部分があるのが傍から見てると楽しいですね。そう言われた八幡の方が特に、すげー嫌そうな顔するでしょうけど。
しかし、もっと面倒な案を出して、元の案を通させようとか相変わらず癖のある手使いますね。本当に高校生かよ。
そしてその一手を活かす為に、過去の出来事すら利用するんだから、もう……。