「魔女に連れ去られる? え、私たちそんな面倒なことしないですよ」
C97(2019年冬コミ)で頒布された短編。
書籍版3巻後のエピソードです。表紙・裏表紙込で36Pとあっさりテイスト。
同時刊行の『零れた灰を嘆くとも』が暗いのであちらを陰の新刊、こちらの陽の新刊とする予定だったとか。
……いや、『死骸の森』なんてタイトルですから、まぁ死体が出たりして暗めではあるんですけど。事件自体はさくっと解決してるのでご安心ください。ちょっと魔女の情報がでて情緒揺さぶられるだけです。
ファルサス南部の海岸に挙がった不審な死体。
それは、ファルサスに属する魔法士だった。とはいえ、宮廷魔法士ではなく、地方領主のお抱えだったようですが。
折よくオスカーの下に宴席の招待状が届いたので、顔を出すついでに調査を始めて。
割と片手間であっさり解決するのが、この二人だよなぁ、という感じですね。
「彼女がいると大半の神秘は力技ではぎとられてしまう」って一文がありましたが、まさしくその通りと言いますか。
王と魔女がそれぞれに蓄えた知恵。
それに万能とも思える魔女の力と、王の発想が合わされば、解決できない案件の方が少ないですよねー。
個人的に今回の見どころは、3巻後の話なので2人が結婚しているわけですが。
「魔女」が同行していると伏せる為に、ティナーシャが外見を伏せていて。
それでも惹かれる見る目のある青年が居て、彼女に近づいた……ところに間髪入れずにオスカーが来た場面ですね。冒頭も冒頭!
いやでもだって、外見変えても人を惹くティナーシャが素敵だし、彼女が退席した後を青年が追ったのに即座に気付いたってことは歓談しながらもオスカーが彼女を意識し続けていたってことで、尊いなぁと。満喫しました。