「自分の知らない世界を見たいんだよ」
前巻『空色の冊子』では、三日月堂にまつわる過去が描かれました。
シリーズ6弾となる今回は、三日月堂から広がっていく未来の話が収録されていました。
「マドンナの憂鬱」、「南十字星の下で」、「二巡目のワンダーランド」、「庭の昼食」、「水の中の雲」、「小さな折り紙」の6編が収録。
金子さんが朗読会をしたちょうちょうの一人と交際を始めたとか、ワークショップをした高校生たちのその後の話だとか。
当然なんですけど、これまで多くの人が三日月堂を訪れて、色々な経験をしていましたが。
たまたま多くの人々の歩く道が、三日月堂を通っただけで、彼ら彼女らには三日月堂の視点からは見えないこれまでとこれからがあるんですよね……
世界が広がった様で、とても楽しかったです。
直近の時間軸のエピソードが紡がれるのかと思ったら、「小さな折り紙」では子供たちの話になっていて、驚きました。
弓子さんが、三日月堂の店主としても立派になっているのが感じられましたし、家族を亡くした彼女が幸せそうな過程を築けている事にほっとしました。
読んでよかったと思えるシリーズで、とても素敵な番外編でした。