「……それはそうだが、どうした? なんだか凄く嫌な予感がするのだが」
「このアニスフィア、名案がございます!」
五歳の時に、前世の記憶を取り戻した王女アニスフィア。
魔法がある世界で、それを使いたいと願ったものの、彼女には魔法が扱えなかった。
それでも挫折せず独自の理論を構築し、彼女でも扱える魔法のような効果を発揮する道具、魔道具を開発した。
その実験に際して生傷が絶えなかったり、普通の王族とはかけ離れた行動をとるために、ちょっと距離を取られている感じはあるようですが。
しかしまぁ、魔法が使えず暴走しまくる彼女を、よく王女として留めたな王様。
振り回されまくっているけれど、その才覚は本物だから、みすみす放り出すわけにもいかなかったんでしょうけど。
そんな王の子だからか、マッドな研究者な面が強い王女に、時に王族の貴い覚悟を見られる場面もあって、中々楽しいです。
まー基本的には暴走しまくってる研究バカなんですけどね。でも、決して悪人じゃないから憎めない。
今回も、魔道具の実験失敗でパーティー会場に乱入したら、王太子が次期王妃と目された相手との婚約を破棄する場面に遭遇して。
そのまま彼女を保護という名目で拉致して、最終的には救っているわけですから。
胃薬が手放せない王様にはちょっと同情しますけど。
なろうからの書籍化で、加筆修正されて読みやすくなっているので、入り口としてはこちらをオススメしたい。
あとはスタンピードの時の展開とかも色々変わってましたねー。刊行続いて欲しいな。こっちのルートの展開での続きが気になる。
アニスが解説するときにやたら「~だ」と断定口調になるのが、普段と違って微妙に引っかかったりもしましたが。結構楽しい作品でした。