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「いらん。これでも教師だ。自分にうんざりしてることと、うんざりのきっかけに代償を求めるのは筋がちがう。筋がちがうことを生徒の前で見せられん」

 

イラストが可愛くてアド。

中学二年生ながら発育が良く、まとう空気も違うと特別視されている少女、椿屋ひなた。

告白されることもしばしばあって、クラスメイトからも「違う」と認識されている。

彼女の特殊さは生徒たちだけではなく、教師も把握しているもので。正直扱い兼ねている部分もあるようですけど。

 

家族ぐるみの付き合いがあり、彼女の幼少期を知っている隣人である小野寺達也は新米の中学教師で……ひなたの担任を務める事に。

本人としては知り合い故に、外してくれと希望していたようですけど。

教師と生徒としての交流と、お兄とひなたとの会話。公私が入り混じっている、二人のやりとりが楽しいですね。

 

タイトルと表紙の通り、この作品の中心にいるのは椿屋ひなたという少女なのですが。

章ごとに変わる視点に彼女のものはありません。

達也やひなたのクラスメイト、彼女と接点を得た先輩のもの。それぞれの視点から、多角的に彼女を見る。

お兄相手に言う冗談は、はたしてどこまで本気なのか。いったい何を考えているのか。描かれないからこそ、彼女の心が気になる。