「そうでもない」カレルは言った。「おかげで人の機微と言うもんが少しは分かった気がするよ。感謝する気にはまったくなれないが……今後の治世の参考にでもさせてもらうさ」
隣国からの侵攻を、見事撃退し要人を捕える事に成功したカレル。
とはいえ、198年ぶりに戦端を切った相手が、たった一度の敗北で退くはずもなく。
次の手を着実に打ってくるんですよねぇ。聖女の力がなかったら、暗殺に成功する辺り、容赦もない正確な一撃と言うのが厄介です。
オマケに、戦果を挙げたとはいえ元は平民であるカレルが、聖女セシリアと結婚し貴族のお歴々を従える事への反発もあって、内側にも気を配らないといけないのがややこしい。
暗殺計画を知ったカレルは、情報を集め……使われる毒がドワーフが作るものだと突き止めて。挨拶も含めて、ドワーフの国に足を運ぶ。
カレルがかつてエルフのところに踏み込んだように、ドワーフの国にも滞在していた経験があったりするのが強いよなぁ。
まぁ、そもそもそう言った国々を回れるフェルトフォルクの商人と親しくしているのが、一番のポイントですけどね。
情報は何にも勝る武器になりうる。
今回も、掴み取ったものを上手く活用して華々しい戦果を挙げていましたしね。
団長に就任したばかりだというのに、情報の取り扱いが凄いんだよなぁ。存分に活用している。
ただ、使うのは上手くても彼自身が情報を集めるのに秀でているわけではなく。前述の商人や、独自の諜報網を築いている王子の補佐あってこそではありますけど。
敵の第二陣も上手くいなしてましたが……思わぬ勢力の横やりが入ったな。予想していなかったわけではないけれど、予想よりも随分と早い。
さてはて、ここからどういう手を打つのやら。続きが楽しみな感じ。